原作が有名なだけに内容は特に心配していませんでした。といいつつ、私自身は原作未読だったので犯人が誰かも知らなかったわけですが。
まず何より色彩が美しい。冒頭の薄紫に染まる空をバックに列車が映るシーンは絵画のようでした。雪が一面に広がるシーンも、寒さがこちらまでしんしんと伝わってきます。カメラワークも素晴らしい。殺人が発覚した場面など、どうなっているの!?と観客の想像力を掻き立てる描き方がされていました。
個性的なキャラクターたちも、違和感のないキャスティングで落ち着いて楽しめました。強いていうなら一番しっくりこなかったのはポアロかも。ポアロって想像以上に熱い男だったのね。アシンメトリーや不均衡を嫌う姿が見た目と相反するような気がして、若干の不一致感を覚えました。
何回も見直したいというよりは、ほぅ、と感嘆の溜息をつきたい時におすすめの映画です。