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オリエント急行殺人事件のレクのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.5
本作品における最大のテーマは善と悪。
オリエント急行に乗る前にポアロは
人は善と悪の二種類しかいないと語りました。
オリエント急行殺人事件はポアロにとっても人生観、価値観を変えた大きな事件の一つなんですよね。


リメイク作品ということで、オチを知っていたのですが、結論から言うと楽しめました。

まず、映像とセットの素晴らしさ。
このご時世、CG技術の発達で金をかければ何でも作れてしまうわけですが、そうは言っても映像美を見せられるだけでもその世界観に浸れるというのも否定はしません。

カメラワーク一つ一つにしても、ただ登場人物を映し出すのではない。
映し方一つで登場人物の心理状態や人物同士の関係性、その場の状況に至るまで語られることがあります。
例えば、ワンカットで映し出す登場人物それぞれの表情にはその場をリアルタイムに描き、緊迫感や緊張感がひしひしと伝わってくる。
頭上からの視点では普段見ることのない視点ということでその場を俯瞰的に見ることが出来る。
これはまるで天から下界を見ている神の視点のようで、ここもテーマと繋がってきますね。
また上から見ることで列車内の構造を瞬時に把握することが出来る。

ラストの最後の晩餐を彷彿とさせる映像もポアロ自身の神学的思想の部分、そして事件の終焉を示唆させる。などなど。


原作やオリジナルとの間に越えられない壁があるのは仕方ないことで、この手の作品、特にリメイクに求めるのは酷というもの。
しかし、何度観ても楽しめるものは素晴らしいと思います。
何度か観ることによって新たに見えてくる部分は必ずあります。
オチを知っていても尚、楽しめたのは勿論この作品「オリエント急行殺人事件」の持つ作品力でしょう。
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