HidekiIshimoto

立ち去った女のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.0
ずっと気になりつつ長さにたじろいでた作品。けど観始めればググッと観てしまうヴェネチア金獅子賞も納得の映画だった。舞台のミンダナオ島、聞き覚えあったのでwikiったら「第二次世界大戦前までは2万人近い人口を有する東南アジア最大の日本人コミュニティを形成」とあり、東西列強の植民地政策で相当引っ掻き回されてきた地域。どうせその挙句なんだろうけど、近年は東南アジア全域で活動する国際的テロ組織の拠点になってるらしく、治安がどうのというレベルじゃないっぽい。そういう暗黒背景を背負った映画なわけで、俺などが一回観て咀嚼などムリ映画。けど自分もこの暗い街頭に佇んでこの深い闇を目撃してる感覚にさせられるあたり、このアピチャッポンみたいなアンゲロプロスみたいな目撃感を生み出す、小津みたいな固定カメラがいつも微かに斜めっててやばいミンダナオの日常の不安定感がじわり伝わる。観る価値あるどこでもドア映画だと思うけど、このドアの向こうに行くのは覚悟が必要。いや行かないけど。