裏切りの街のズーミーのネタバレレビュー・内容・結末

中央線沿い住みの総武線ユーザーとしては決して他人事とは思えないような作品。
普段目にする景色がそのままスクリーンに映し出されて主人公ふたりのような人たちはそこら中にいるのだろうと映像を通して体感させられた。
また、舞台が杉並区というのも絶妙だ。決して華やかではないが23区内という舞台設定が、登場人物のイメージとも重なるような気がした。
役者の演技は言わずもがな。池松壮亮はお得意のニート役。この役柄で彼より右に出る役者はいないと、心底思わされる。そして寺島しのぶ。普段の生活に不満があるというわけでもないが、満たされているわけでもないという役柄を彼女の表情、そして目の動きで見事に演じて見せた。
そして三浦大輔監督特有のものすごく意地悪で、それでもどこか登場人物たちを憎むことのできない、むしろ愛おしいとすら思わせてくれる演出。素晴らしい。