チキン

THE BATMAN-ザ・バットマンーのチキンのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

公開日に見に行きました。
監督はマットリーヴス。
新猿の惑星の2と3。クローバーフィールドなどを担当した、個人的には安心出来る監督です。

こちらの作品を見た結論としては面白い……面白いがしかし、大衆向けでは決して無いという事です。

私が信頼した通り監督は期待以上の作品を作ってくれました。
ただそれはヒーロー物としてではなく、陰鬱で狂った街を狂った男が正す為に手段を問わず事件に挑んでいく様を描くという、サイコパスを主役としたサスペンス作品としてです。

ダークナイトシリーズでもリアルな描写を描いていましたが、こちらの作品はよりリアルを突き詰めた内容です。
象徴するのはバットマンといえば空を滑空して移動しますがこの作品ではそれをせず、作中では基本乗り物で移動という地味さ。空を飛ぶシーンもこれまでの事を考えると、本当に滑空しているという物。
戦闘シーンも戦闘と言うより喧嘩……いや、暴力に暴力を返しているというのが正しいぐらい泥臭い。
そこに今作で登場するのはリドラーという犯罪者。歴代の作品にも登場しましたが、今作の彼はコメディでもなく本当の知能犯。現実的で、しかしぶっ飛んだ思考で嫌らしくバットマンを翻弄し、バットマンは追い詰められます。

上記の通り、この作品は暗い。息が詰まるような空気がずっと本編に漂っています。
しかし、自分としてはそれらが素晴らしいと思いました。

バットマンの性格はこれまでと比べると本当に暗くて、どちらの彼もブルースと呼べるくらい青臭い。けれどそれが良い。
なぜならこの映画においては、以前のシリーズで今まで触れて来なかった部分に切り込み、話に盛り込んだ事で青臭いバットマンでなければならなかったと思ったからです。
話も丁寧できちんと伏線を巻き、回収して思いつく限りでは破綻はないと思います。
何より絵作りが素晴らしい。長い上映時間ですし疲れる作品ですが、映画館で見る価値があるほど目に焼き付く場面が多い。見た方は印象に残った場面は1つはあるはず。

人には薦めにくく、しかし見て欲しいと考えてしまう。
ヒーロー物としてではなく、サスペンス物として見るべき作品ですね。
しかし、バットマンの始まりとしても素晴らしいのでバットマン気になる方にも見て欲しい。
チキン

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