Daichi

THE BATMAN-ザ・バットマンーのDaichiのレビュー・感想・評価

3.7
今作は過去作と比べて最も視界が悪い。

まず本当に映像が暗い。有機ELテレビを持っていないなら劇場でしか楽しめないのではと思うほど黒い。
そして画角が狭い。めちゃめちゃ狭い。

そんな視界が悪いゴッサムで戦うバットマンもまた、中々の盲目的な人物として描かれていた。

過去作同様幼い頃に両親を殺され、スーパーリッチ孤児になるところまでは同じだが、そこからの成長が違う。
「ダークナイト」では、犯罪者心理の理解に努めながら自分なりの正義を探す哲学的なバットマンが魅力的だったが、一方今作のバットマンは復讐に目が眩み、より危険な人物として描かれていた。

感情ドリブンなバイオレンスは勿論、犯罪者の背景(孤児やそれに紐づく貧困)に始め盲目だったという意味でも危険な香りが強い今作のバットマンは、一応”殺しNGルール”を持ちヒーローらしさはありつつも、自身を”復讐者”として位置付けているのが興味深く、そこに新しいバットマン像を確認できた。

一方中学時代に文字通り毎日「ダークナイト」を鑑賞していた弊害か、それとも名前は同じながらも、異なる性格を持って蘇った登場人物が何人も登場したせいか、過去作の情報がノイズになってしまい、途中苦しかった。

それにしてもやはり”復讐”は良くないね。

悪に対する復讐(Avenge)という大義名分で暴力を正当化し、それを正義と呼ぶのは違うのでは?と、DCさんがMARVELさんに説教しているように見えたけど、きっとそんな意図は無いと思うので忘れてください。
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