ブラックユーモアホフマン

THE BATMAN-ザ・バットマンーのブラックユーモアホフマンのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

微妙!

プロダクションデザインや撮影、音響は優秀。また新たなバットマン像を頑張って作ろうとしてたと思う。

脚本、演出、編集が、残念。マット・リーヴスはフィンチャーからの影響は公言してないらしいけど、明らかに『セブン』だし『ゾディアック』だし「マインドハンター」だろ!!いや百歩譲って本当に影響受けてないとしよう。だとしたら、もっとフィンチャーに学んだ方がいいよ。

なぞなぞってこんなんだっけ?謎解きがあんまりスッキリしないのよね。こういうジャンルにおいて、知能犯が探偵である主人公より常に一歩先をいってしまってどんどん犠牲者が出るという展開が故に、主人公がヒーローのはずがバカに見えるっていうのはある程度仕方ないことなんだけど、さすがにこのバットマンはバカに見えすぎるよなぁ。なんで暗号、いつもアルフレッドが解いてんのよ。

翼の生えたネズミ、って明らかにコウモリじゃない?なんでまずそれを疑わない?なんでペンギンなの?とか、なんかもうその時点からリドラーはブルースがバットマンだって気付いてそうじゃない?で確かに気付いてたけど、なぜバレたの?とか。
冒頭シーンは、てっきりブルース・ウェインとトーマス・ウェインなのかと思ったら、今のゴッサム市長とその息子だったのね、って意図的にミスリードさせてたと思うんだけど、だとしたら、トーマス・ウェインも一連の事件の発端に絡んでそうだな、って想像させられる描写。だからその後の展開が予想できてしまってるのに、勿体ぶる。だから真相が明らかになった時「いやまあ随分前からそうなんだろうとは思ってましたけど今更何ですか?」と思っちゃう。
リドラーよりバットマンより誰よりも観客がいちばん先にいっちゃう脚本というか。もっと驚かせて欲しかったなぁ。

で演出というか編集のせいなのか、ずっとモタモタしてて……この映画、絶対こんな長尺である必要ないよ。長くても140分台にはできる。

あと皆、自分の過去とか事の真相とかを、聞いたら聞いただけちゃんと答えてくれる。ベラベラベラベラよく喋るな!!しかも大体立ったまんまね。映画なんだから突っ立ってないでもっと動け!

クラブの門番の双子とのテンドンが3回、ブルースとセリーナがイイ感じになる(その意味もわかんないしね。男にとって都合のいい脚本としか思えない)シーンも3回。

爆発で気絶したバットマンが警察に捕らえられたシーンで、ゴードンが説得するから2人にしてくれって言ったら、署長は素直にそうさせてあげてたけど、そういうところも本当に都合がいいなと思う。なぜブルースじゃなくてアルフレッドが包みを開ける?それも計画の内だったなら良いけど、別に説明もない。しかも本気でブルースを殺すつもりで送ってきてたなら、なぜアルフレッドは死ななかった?都合良すぎ。
いちいちロジックが無い。なんとなくそうなるだろうな、でしか脚本が書かれてない。

最後、洪水っていうのもどうかなと思ったよ。だってリドラーは貧しい孤児代表みたいな悪役なわけでしょ。貧困層を代表して金持ちに復讐してるんだったら、洪水なんてむしろ貧困層を苦しめるでしょ。ペンギンが無傷でビルの上層階で窓の外眺めてたのに象徴されるように。高い所に住んでる富裕層はむしろ打撃少ないよ。路上でしか生活できない人とか、洪水の後どうすんのよ?リドラー、ちゃんと考えた?

あとバットマンも最後は人命救助してようやくヒーローらしくなったけど、道路でペンギン追ってた時とか、あれ相当被害者出てるでしょ。そこら辺どうお考えで?しかもアレ無駄足だったしね!スペイン語分かんないのとかもバカっぽかったな!

それで最終的にリドラー負けてバットマン勝ちみたいになってたけど、どこが?笑 計画全部上手くいったしバットマンはほとんど何も阻止できてないし、どう考えてもリドラー圧勝じゃない?笑

筋書きも、警察の汚職、でマローニだファルコーニだ、でヴィランは知能犯、って『ダークナイト』なのよ。で言ったらやっぱ『ダークナイト』の方が数十倍面白いのよ。だったらこんなん要らなくね?もう今、逆に「Mr.フリーズの逆襲」みたいなのの方が新鮮だよ。いや実は「Mr.フリーズの逆襲」級にふざけた映画かもしれない。ルックだけはカッコいいけど脚本バカすぎ!トンデモ映画だよ!!

キャストは好きな人が集まってた。ピーター・サースガードは良かったね!!ああいう冷や汗かいてる役似合うんだよなぁ。そう、『ブラック・スキャンダル』だ。あれも良かった。やっぱ好きだわぁ。願わくば首吹っ飛ぶところもちゃんと見たかった!
ファルコーニはジョン・タトゥーロか。好きなんだけど、やっぱ『ビッグ・リボウスキ』とか『トランスフォーマー』とかのふざけた役のイメージだからあんま怖くないんだよね。チョーさんの吹替で脳内再生されちゃうから。最近ハリウッドでイタリア系といえばこの人になってるけど。
でポール・ダノ。もちろん大好きだけど、『セブン』とか『ゾディアック』っぽい『プリズナーズ』にも出てたし、若干安直なキャスティングにも思える。でも脚本が良ければもっと輝いただろうな。残念。終盤のああいうダノダノを見たければ『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で堪能できる。
なぜペンギンをコリン・ファレルがやらなきゃいけないのか分からない。わざわざ特殊メイクして。本人は楽しそうだったけど。元々ブサイクな役者じゃ駄目なのか。この小物感も嫌いじゃないけど、やっぱバートン版のダニー・デヴィートが好きだからちょっとイメージ違ったな。

全体的に厨二臭すぎるのもあったし馬鹿馬鹿しくてクスクス笑いながら見てしまった。なんだか微笑ましかったよ。逆に愛せるかも。

【一番好きなシーン】
結局冒頭が一番良かったかも。ハロウィンの夜。バットシグナルが犯罪抑止力になってるのを視覚的に表現できていて面白かった。