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THE BATMAN-ザ・バットマンーのSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

4.0
闇の告白
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暗い。
重い。
長い。
痛い。

そして救いようがない。

これが今のDCの芸風なら
…答えはアリだ。

とりあえず3時間の長尺を引っ張られた。
マーベルが明るく楽しく過激なアメコミをやるならば、同じことをやってたら、たぶん明日は無い。「ジョーカー」で、モノヅクリの三途を渡った以上、もう恐れるものなど何も無いのだろう。

アメコミの三悪道を極めるか。

とにかく暗く暗く物語は回る。目の周りの隈を塗りたくるダークヒーローは、一歩間違えば単なるその辺りのコスプレ変質者と変わらない。金に物を言わせて犯罪者をボコボコにする様は、ある意味究極の自己満で爽快ですらある。あのカッコで堂々と表を出歩く神経もサスガ。ヒーローはやっぱし逝っちゃって無いとなれないんだなァ。苦笑する。


息抜きは、せつない出自の、きれいな顔をした猫娘か。
ウィッグひとつで表情が変わるサービスキャラ。
でも、母を奪われ、父親にポイ捨てされた可哀そうな子猫。

なかなかにいい感じのキャラ仕立てなのだが、このコも今ひとつ締まらない。振り子は、どちらかに振り切らなきゃ。
中途半端、それは悪。

けれど、謎解き仕立ての物語は、
それはそれでハコの興味を惹きまくる。
次は?その次は?それからー????
ここは良い。割と良いんだよ。
しかし、ことごとく蝙蝠男が謎解きをブチ壊す。
こいつ空気が読めなさすぎて笑う。
いや、少しは客に考えさせろよなー。

汚職にまみれた展開は、まあリアルにどこでもアリそうだけど、誰が正義か解らないのが、如何にもな世界観。ここも、きちんとマーベルとの棲み分けを徹底している。

恐怖でひとを従えても、それ以上の恐怖には勝てない。
結局、恐怖の抑止力は長くは続かない。

西海岸が示す中途半端な偽善を、北の国のリアルゴッサムシティに住む能面ジョーカーは、嘲ながら、せせら笑うのだろうな。純粋な悪には、はなから自分の欲望しか無い。血も涙もない。そういう生き物。

ダークヒーローが示す中途半端な献身は一体どういう未来を示すのだろうか。トリロジーなら最後まで付き合おう。もし未来があるのならば。

しかし、この暗くて重くて湿湿なスジで。この異常な長さは苦行。果たして次は耐えられるか。そこも楽しみに待つとしよう。

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