たく

汚れたミルク/あるセールスマンの告発のたくのレビュー・感想・評価

3.7
グローバル企業の闇を実話を基に描いてて、一人の男が企業の不正を告発して英雄になる話かと思ったら全然違った。

冒頭、ミルク色の背景に議会で企業側が追求されるやりとりが文字で出てきて、てっきり本編の闘いがこの場面に結びつくんだと思ってたんだけど、改めて見ると冒頭は’78年のやりとりで本編は’90年代。つまりこのミルク問題は長年にわたって続いてるってことだね。

パキスタンのやり手セールスマンのアヤンが自社の国産の薬が全く売れず、大手グローバル企業に転職して粉ミルクを売りまくる手腕がちょっとカッコよく見えちゃう。
国が水道を整備してないので貧困層は汚い水を薄めて使うしかなく、赤ちゃんが下痢と栄養失調でどんどん死んでいくんだよね。その事実を親交を深めた医者から知らされたアヤンが企業を告発しようと立ち上がる展開が胸熱。
でも現実はそう一筋縄では行かないという怖い話。

現在の彼を取材しながら再現映像で進めていく演出が「サンジュ」と同じで、トラの咆哮も出てきたね(原題がTiger)。
ラストカットの雪が寂しく余韻を残す。
たく

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