良い。すごく良い。
こういう映画を作ってしまうから韓国映画が好きなのだ。
うまく周りと調和出来ない、9歳の少女達の葛藤と成長を描いた本作は、盛り上がるというほどの盛り上がりシーンは無い。淡々と少女達の姿を映して行くが、そこには否定も無ければ、押しつけがましい肯定も無い。
けれどこちらは、子供達のちょっとした行動や言動に妙にヒヤヒヤしてしまう。多分、誰もがこの時代の空気感を経験しているからだろう。今思えば些細な事が、あの頃には世界の全てだった。
愛情深い母親と、素直な弟の言葉や行動は、主人公ソンだけで無く視聴者にも救いを与えてくれた。
(韓国映画界は名オジサン俳優の宝庫だが、子役もすごい。ソン役の子はすごく普通ぽさがあるのに惹き付ける魅力がある。第二のキムセロンかもしれない)
ラストも秀逸。子供の世界だからって(いや子供の世界だからか)、そんなに簡単に都合良くはいかないだろう。
けれど、おそらく二人も他の子供達も、何となく何となく、周囲と調和したり出来なかったりしながら、少しずつ紛れるように大人になるのだろう。
それはとても自然な事なのだけど、線を踏んだかどうかがとても大事な時代が、いつか終わってしまう。大人の私たちにはそれがとても惜しいのだ。
9歳の「わたしたち」の世界はこんなにも近くて、狭くて、大きい。
