加藤達也

わたしたちの加藤達也のレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
4.2
今年一番の傑作だった。
とにかくファーストシーンから圧倒的に心を持ってかれる。語らなくとも少女の佇まいから全てがわかる。人が人をいじめる瞬間と、その機微を丁寧に描いた作品。
幼い頃の心の裏の襞を触れられ、とにかく見続けた。カメラが子どもの世界の中にあり、めちゃめちゃリアルに子どもたちの目線で語られる。妬みや、そねみ、貧富、自己保身、集団心理、家庭環境。
人が社会に入り、様々なしがらみが増える様を、子どもの目線を通してその不思議さやどうしようもなさなど呈示される。
少女が澄んだ目でため息をするほど、どうしようなく面倒な世界だが、最後のカットに希望もあるのではと思えて、泣けてしまった。
加藤達也

加藤達也