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山<モンテ>のnnn1909のネタバレレビュー・内容・結末

山<モンテ>(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

モチモチの木とかそういう絵本にありそうな話。
山は無彩色に近くて、ビュ〜とかゴゴゴゴゴォとか硬質な描写。山肌の寄り画が多くて閉塞感とか鉄壁ぽさがあった。
家の中は寒々としてて、陰影がはっきりしつつ光は柔らかく作ってあって絵画みたい。

1400〜1500年代?イタリアのどこか、山の中腹の日が当たらない場所に墓を持つ墓守一族は、光が当たらないから作物も育たず、落石や病気でよく人が死ぬ。犬が墓を荒らす。下に降りても異教徒と迫害を受け、皆墓を捨ててどこかに行ってしまう。
お金ないから妻の髪飾りを売ろうとしたところ、窃盗犯扱いをされ聖職者に追われる。息子は逃げ、妻は捕まるけど帰ってこれた。
家族3人になってしまい、日を遮る呪いの山を崩そうとハンマーで叩く生活が始まる。尺にして25分ほど、息子と二人で「んあああ!!」と山肌を叩くシーンがひたすら続く。山は崩れ、太陽が出る。

元凶がただの山!!山がラスボス!!ぶっ壊す!!おもしろいなーそれと思って観たのだけど、山に呪われているのも、先祖代々お金がなく(異教徒だから?)日本で言えば部落の様な一族で、呪われた山陰に住むことに。山こそ彼らのカルマで、山を崩す=運命、カルマをぶち壊す!という感じで上手いことできてる。
映像が硬くて冷たい。簡単には壊せないカルマがそびえ立ってる感がすごく出てた。
ラストの25分、彼らの怒りや憤りが爆発しててその激情がなぜか気持ちよかった。とてもシンプルだけどいい映画だった。
「ぶち壊せ、人間のカルマを!」だったか、コピーもすてき。
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