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苦い銭のkenjistanbulのレビュー・感想・評価

苦い銭(2016年製作の映画)
4.8
彼らには、彼らの日常がある。

意識的に、脚色的に、加害者・被害者という構図を作らなければ、色んなことは普通の日常になるんだ。すごいなぁ。
恋もするし、ご飯食べるし、笑うし、シャワーは浴びるし、故郷を紹介したがるし、喧嘩はするし、感動もする。

服の縫製が少し雑でもそれなりの値段で購入し、
掃除のおじさんやレストランのウェイターがスマホいじってお菓子食べながら働いてたとしても別に嫌な顔ひとつせず、
人間が機械やモノのように扱われるよりは全然そんなのどうでも良いと思える人間が増えれば。

でも、「彼ら」がやっているのは喜捨でも寄付でもなくビジネスで、
ビジネスを目の前にしてはこの映画に出てくる人、そして僕はあまりにも無力でありました。

見事なまでの長回しと、音楽も脚色もなくて、演者も出てこず全て素人、、素人?あの世界では玄人か。
いずれにせよ、すごい映画を見たときに、動物的に覚えるあの感動は、控えめに言って一才感じられなかった。
でも、今回と同じ内容を、それなりの監督が撮って、プロの脚色があれば、いわゆる僕は何かの強い「問題意識」を抱き、ある種の感動をしていたと思う。それは本作品にはなかったからこそ、とても驚いたし、面白かった。

映画・映像の凄さを改めて実感した次第。感謝。
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