SatoshiFujiwara

愛の喪失/ネヴァー・エヴァーのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

3.2
TIFF2016

ブノワ・ジャコでは『肉体と財産』『トスカ』に次ぐ3本目の鑑賞(前者は好きです)。本作はフランス映画をそこそこ観慣れている俺が観てもなんだがピンと来ませんでした。

少し前に黒沢清の『ダゲレオタイプの女』を観ていたこともあって、なんだ似た話じゃんと思ったが(あちらは女が死んだことにようやく最後に気付くのだが、こちらは男が死んだことを分かっていながら本人に一体化して喪を乗り越えようとしている)、本作はそれぞれの意味ありげな事象(携帯の着信音、家の中のよく分からない物音、ドアの音など)の提示と回収が上手く行っていないと思われ、単に「なんだこりゃ」で終わっている。事象が効果的なドラマトゥルギーとして結実してないと言うか…。マチュー・アマルリック演ずるロイの死、あれは自殺ですかね? 家の中の妙な音が死を誘ったのか。何だか分らん(俺の理解力不足かも知らんけど)。音楽も言っちゃえばダサい。比べてもなんですが黒沢清の方が格段に上手い。

ストーリーは後から考えれば分かる話であってそこまで難解でもないと思うんだが、何だか冴えない。すいません。期待しすぎたか。そんな中でもマチュー・アマルリックはさすがにすばらしい。自分が存在していること自体を常に斜に構えて眺めているかのような皮肉めいた佇まい。
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