第10回したまちコメディ映画祭のオープニングアクトにして、映画通で知られる斎藤工監督の初長編監督作とくれば、俄然興味が湧いたので観てきました。
俳優監督というと個人的には大きなハズレは引かないイメージがあります。
例を挙げれば、クリント・イーストウッド、メル・ギブソンなどがパッと思いつく。日本だと田口トモロヲや竹中直人あたりか。
来年公開なんで極力ネタバレ避けますが、
実話ベースの話をあそこまで劇映画へと昇華させた上、70分という短時間に収めた手腕は素晴らしい。
役者も主演の高橋一生、松岡茉優、リリー・フランキー、神野三鈴、佐藤二朗ほか言えない飛び道具多数。かなり豪華。
初監督作だとテクニック的な方へ行きがち。
本作もそういう面はある。
しかし、ドスンと一本芯のあるテーマがしっかりある。
斎藤監督が見事なのは「オレの意見はこうだぜ」というような押し付けがましさは一切ない。
そして、コレは誰にでも起こりうる話であるという普遍性もある。
金子ノブアキの抑制が効いた音楽、テンポに気を配り、役者という素材が活きる演出。爆笑ポイント多数。
残念な所は邦画特有のセリフの聞き取りづらさ。浅草公会堂だからかも知れませんがね。
役者にノビノビとやらせ過ぎてしまっていて、ちょっとコント風にも見えたり。
でも、コレが70分ってスゲエなと感心した。斎藤監督はドンドン作品撮った方がいい。
舞台挨拶、ティーチイン付きの豪華な上映でした。裏話や作品への想いなど聞けるのが映画祭ならでは。
会場は98パーセントお姉様方でいっぱい。場違いな場所に来ちゃった感はありましたがね。