観終わった後、他人を見る目が少し柔らかくなる。そんな素敵な映画でした。
映画マニアでもある俳優・斎藤工の長編初監督作品だけあって、全てに手が行き届いている感がある。特に音楽（金子ノブアキ）がさすがのBPM合わせだったりで、憎い演出。逆に言えば隙や荒削りな部分がなくて監督の色みたいなものは薄いのかな？と感じる部分もある。
前半とタイトルが出た後ではガラッと作品のカラーが変わる。前半の重苦しい空気を一転させるのは、やはり佐藤二郎、その人である。もう出て来た瞬間からおかしい。しかし、彼がいつものように１人でボケ倒すわけではなく、ツッコミと狂言回しに徹するのは意外だった。これは『９９人の壁』の佐藤二郎だ。笑
二郎さんの話は置いておき、これまた『不甲斐ない父親』をやらせたらこの人しかいないのかってくらい同じような役が多いリリー・フランキー演じる松田雅人の人生を家族と友人たちの視点から振り返るのが本作の軸。借金を抱え家族を捨て失踪した父親の、家族の知らない驚愕の素顔とは･･･。
70分という短い時間にギュッと詰め込んだ良作ですので、気軽にサクッと観て欲しい一品です。
