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姉と過ごした最後の夏のMOEのレビュー・感想・評価

姉と過ごした最後の夏(2017年製作の映画)
3.8
【6日間の走馬灯】
アリシア・ヴィキャンデルとエヴァ・グリーン様が姉妹?!と思ったら、エヴァ様のお父上はスウェーデンの方だそうです。

起点は同じはずなのに、決して交わることのない道を歩む二人の姿が、切ない。姉妹という切っても切れない縁と、目に見える人生の差異が二人の間の溝をより一層深めている。
劇中何度も姉妹が衝突するシーンがあるが、そこにはいつも強い感情とともに絶妙な虚無感があった。

尊厳死の良し悪しを争うような映画ではなく、あくまでもメインテーマは”家族の距離”だったと私は思う。あくまで尊厳死は、今作において前提orコンマに過ぎないのではないか。
同じ血を分けたもの同士、どこまでお互いに責任を持つべきなのか?
お互いの自由をどこまで侵し、いつまで選択に影響を与え続けるのか?
家族関係の複雑さを暗に炙っていた。

施設の荘厳で美しい雰囲気が心地良かった。ヨーロッパのどこで撮影したんだろう?

さり気なくチャールズ・ダンスさん、ランプリングさんを配置しているセンスに拍手。
元サッカー選手のエピソードも良かった。

アリシア・ヴィキャンデルのデビュー作を監督したリサ・ラングセットが、初めて全編英語の作品づくりに挑んだ今作。当初はスウェーデン語で製作予定だったが、アリシアが”もっと世界に広く知られるべき内容だよ”ということで、英語で作ることになったそう。ちなみにアリシアは、今作でプロデューサーデビューを果たしている。
キャスティングも、美しいロケーションに対して終始漂う不協和音的雰囲気のバランスが良かったと思う。
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