ゆーり

ゲット・アウトのゆーりのネタバレレビュー・内容・結末

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

久々に伏線盛りだくさん、というかすべて伏線の面白い映画でした!!

最初のシーンから、「あれ?どうしてこんなセリフを?」
と思うところから始まる、、、。

どんな映画でも、ささやかなシーンですら、監督の意図的な創意が含まれているのだけど、この映画は伏線が多すぎる!!
(一緒に回収してほしい!!笑)

是非、2回観てほしい。
そして、すべて繋がる。



*******以下からネタバレ********
(超長い)



・冒頭のシーンの黒人男性のセリフ
高級住宅街で、治安が悪そうではないのに、妙に恐怖心を持ちながら郊外を歩く男性。(字幕だとそんな印象で違和感があったけど、吹替だと自分が場違いすぎて浮いているため、強盗と間違われるのが怖いというような雰囲気になっている、、、。本当はどっち??笑)
顔がよく見えなかったのだが、これが主人公(クリス)の後のシーンに繋がるのかなと思っていた、、、。なので、映画の後半にまで、このシーンを頭の片隅に置いて置くと、後に”主人公とともに誰なのかを思い出す”ことになる。
「Run!Run!Run!(走れ!走れ!走れ!)♪」と、軽快な音楽が逆に、その不気味な歌詞とその場の雰囲気を引き立たせながら、車が近づいてくる。

・とてもおしゃれな主人公の家
モノクロ写真家のようだ。お部屋にたくさんの写真がある。
その中で、キッチンに仮面のようなもので顔を隠している人物が、これからの物語を予見しているかのように見える(気にしすぎかもしれないけど)。
この映画は、人種差別を1つのテーマにしている。白と黒。いろんなシーンでそれが意識的に表現されている気がする。黒人男性が鏡で自分の顔を見るシーン、白人女性がケースに並べてある食べ物(獲物)を物色するシーン。黒人男性が真っ白なフェイスクリームを顔に塗り、髭を剃っていると、赤い血が出た。白と黒と、赤。この映画でたびたび、赤色も出てくることに気づいたのだけど、これは血のような不気味な印象を表しているのかな。。。

・主人公と彼女の関係
付き合ってまだ間もなさそうだけど、将来を真剣に考えている様子。
白人女性の両親に会いに行く日のようだ。主人公は自分の肌の色を気にしている。(え、これはいつの時代??と思ったけど、現に気にするものなんだろうな。)それに対して女性は「むしろ、黒人大統領のオバマを敬愛している。その話をさせられて退屈に思うだろう。」と話している。
このセリフの真意が後程、恐ろしい意味での敬愛であり、おそらく過去にも油断させるために何度もターゲットにこの話をしているということが推測される。

・車で実家に向かうシーン(この車も赤色だ!)
タバコがダメ:健康の心配というよりも、商品である身体への心配
ロッドとの電話:ローズの「あなたに近づくためのつなぎ」というジョークは、真実を知るととても恐ろしいジョークになる。
鹿:母親がひき逃げにあったことを思い出しながら、最後を見届けた。
この鹿は母親だったり、クリス自身だったり、黒人を表現しているのかもしれない。父親が語る鹿に対する思いが正にそれも表しているみたい。
警察:身分証明は決して差別ではなかった。一瞬そのように勘違いしていたけど、後から思うと、クリスとローズが一緒にいることを警察に知られたくなくて必死だったということか。

・ローズの実家のルームツアー
ローズ父により、家の中の紹介される。
父のセリフ:「他者の文化を経験するのは貴重な経験だよ」真相がわかると、このセリフの意味もそういうことか!となる。
祖父の紹介:字幕と吹替とではだいぶ違う。字幕では、「祖父は黒人の陸上選手の力を見せつけられて負けて複雑だったが、今は立ち直った」としている。これは、今は黒人の身体を手に入れたということに繋がるのか。
地下室:「今は閉めている。黒カビが生えて使えない。」という表現も、黒人を連れてきて手術をしているということか。
ジョージナ(祖母)の紹介:「お気に入りだった台所。今も残せるものは残している」=母の脳がそこにいる。ジョージナの雰囲気が不気味だったが、これは中に入っているのがおばあさんだと理解すればこの立ち居振る舞いなのだろう。
メインの出し物:運動場を見せつつ、父親の手はクリス自身を指しているようにも見える。(ひぃぃ、怖い)
黒人の使用人たちの説明:「祖父母は介護が必要だったけど、死後も引き続き…」のような説明をしているけど、むしろ死ぬから体がほしくて乗っ取ったということになるんでしょうな。

・家族団らんタイム
もう既に母のティースプーン攻撃によってクリスはやられ始めているか?
ジョージナ:沈んだ地にいる本人が、家族の親睦会の話を聞いていて、自分の時のことを思い出しているみたい。
ジェレミー登場:ほら!血の赤色パンツで登場!
コナーという過去の好きな人:吹替「がたいはいいが、お頭は空だった」これはまさにフラグ!初めてのキスの失敗談で、舌をかみちぎって血だらけという怖い話(こんな場でする話かよ)。
クリス:「僕も気を付けないとな」(そう!狙われているよ!気を付けて!!)
クリスの身体能力調査:運動は何をしていたか。等の質問攻め。柔術という意外な回答で、ジェレミーが「柔術は脳を使う(つまり、君には合わない)。力も必要としない(遺伝子的構造からしてもったいない)。」とスポーツの話とは少し違う話をしている。実際にどれだけの力があるのか試したかったジェレミーだが、母親に注意を受ける。「傷つけはしない」というのは商品に傷はつけないという意味だったのね。

・ローズの部屋
ローズはあたかもクリスの味方かのように家族の態度について怒っているふりをしています(私も騙された!)。けど、クリスは違和感があったみたいですね。過剰に怒りすぎだと。
彼女の部屋のポスター:これも監督が意図して張っているのでしょう、その中でいくつかメッセージや匂わせているものがあった!
「Death Cheetah vs Matter」
(この他に気づいた人がいたら教えてほしいです!!)
野獣:「遺伝子構造で全員倒す!」まさにそうなりましたな!野獣が目覚めると、野獣のぬいぐるみが横にいた。

・夜中に動き出す人たち
ジョージナ:若返った自分の顔にうっとりしていますね。
管理人:手に入れた肉体で存分にトレーニングに励んでいます。
母:催眠術の魔の手に…!途中、椅子の手すりをひっかくシーンで、別の椅子に座っている誰かのシーンと重なるけど、あれはなんだったんだろう??わかる人いますかね…(子供の頃の様子はベッドに座ってTVを見ていたみたいだけど…)

・翌朝の人たちの様子
ジョージナ:鏡を見て前髪をいじるシーン。あれは、傷を隠していたんだね!
管理人:もともと介護が必要だった老人だったので、薪割ができるのも好きってことかな。身体的にはローズの元恋人だったから、それがにじみ出てクリスに対しては不快な対応になってしまったのか。ローズはそれをもちろん知っているので、クリスに変なことを言っていないか気にしていたけど、クリスは態度で感じ取っていた。

・奇妙な親睦会
ローズ:白と赤のボーダー着ている!!と思ったら、出席者のドレスコードなのか?白人がブラックと真っ赤な色のものを身に着けている。やはりこの映画のカラーになるのかな。
グリーン夫妻:素晴らしい握力だ!ゴルフの経験は?フォームを観たい等と自分の替えによいか品定めしている。
ネルソン夫妻:夫は車いすでそろそろ長くないのかな。奥さんが露骨に男の身体として品定めをしている。
デブな夫妻:人の肌をトレンドのような扱いで話している。
父:クリスを話題にしてる。みんなに紹介しようとしているが、あくまでも今回の商品としてだ。
ローガンキング:妙に深い目をした青年。立ち居振る舞いも、もともと老人だったと考えればおかしくない。帽子で頭の傷が見えないな。
※あの赤いハンカチの意味が分かる人はおしえてほしいです!
じゃまたね、とさよならのあいさつの時に、クリスがグーを出したのに、グータッチせずに握手のように繋いだ。これは、心は黒人ではないので、その挨拶の仕方に気づかなかったのかも。ウィンコット夫妻の前では、まるで自分の復活のお披露目のように一周してあいさつした。
ジムハドソン:クリスの写真の魅力に気づき、その目を狙っていたのでもともと知っていた。(怖い!)
ロッドの話:あながち間違っていない。頭を切るというフラグが立つ。
ジョージナ:電源を切ったのは、外部との接触もそうだけど、フラッシュを使わせないように祖母が図ったのだろう。
そして、その弁解シーンでまた壁のポスターが!!

「Chris is dead」(ギャーー!!)

ジョージナの話し方に違和感があったけど、これも全部おばあちゃんだとわかってから見れば、“チクる”の意味が通じないこと、“保障します”の言い回しの意味、“私に主はいない(自分だからな)”などが理解できる。
クリスの発言により、本物のジョージナの身体が自体が悲鳴を上げて涙を流し、祖母がそれを言葉で食い止めようとしているシーンが恐怖。

・みんなへのお披露目
ヒロキタナカ:もう完全に黒人であることを一つの方法として意見を聞いている。
キング:「出ていけ!」これがこの映画の真実。(吹替では「今すぐ!」と話していいるので、より意味がわかりやすい。)ローズのセリフで「襲ってきた」という雰囲気にさせられそうだけど、本当の意味は”逃げろ”ということだったのね。母の催眠術により再び白人の意識が戻されて「本来の自分に戻った」という表現をしている。周りの人も前からの友人みたい。
吹替ではクリスのいとこがてんかんなので、発作のそれではないと説明している。ローズは気分を落ち着かせるために2人きりで散歩してくるように仕向けているけど、実際は彼のオークションを見せないためだったのか。
そして、帰っていくみなさん。字幕では「またな、クリス」と生まれ変わった後に再会するつもりで挨拶しているのかもしれない。

・アーミテージ家
ローズの物置から禁断の箱が!!(真っ赤!!!!)
映っている写真には白人の彼女と黒人の恋人たちと、赤をモチーフにしているものたち…。この時点で信頼していたローズも…やばい!!
ジェレミー:帰るの!?パーティーはこれからなのに(ひぇ)
父:とにかくやばいことを話している。そして…
クリスは剥製にされた鹿(クリス自身を表しているのか)の目の前で起きる。
ジムハドソンにより真実を聞かされるクリス。黒人の身体的優位性に、歪んだ憧れをいただいたやばい奴らが、「殺しはしない、共存をするのだ」といかれたことを話し出した。ただ、ジムはその目を乗っ取ることが狙いだったみたいだけど…。(ここのあたりは吹替の方がわかりやすい説明になっている。)人身売買ということだよね。最初、目の手術だけするのかと思っていたけど、白人は自身の身体を捨てて乗っ取っているということだったのねん。だから、ジムの頭を開閉した後に、ポイポイ捨てちゃってていいのか!?と疑問だったけど、ようやく理解。(手術のシーンはそこまでグロくはない。グラスに映すというやり方はよかった!)
ローズは恋人と称して優しく家に持ち帰る。ジェレミーは少々乱暴に持ち帰るので、術後にも少し影響が出てしまうみたい。母親は催眠術、父親が最終的に脳外科担当というやばい一家でした。

・クリス脱出劇
ソファーにあった綿:黒人奴隷時代の栽培していたものを連想させる
鹿:父親が侮辱していたクリス自身の反撃
携帯:ちゃんと回収しておいてよかった!
ナイフ:刺されつつも冷静に反撃!その後もしっかり持っててよかった!
柔術:やはり、クリスはしっかり頭を使っています!頑張って!
ローズ:コンフレークを妙な食べ方をしている。白い牛乳とは混ぜない。本心は共存などとは思ってもいないということか。そして、このお部屋の壁!これまでの獲物のコレクション写真になっている!(一番やばいやつ。悪趣味!)

最後に、化けの皮がはがれる。これこそ、人間のふりをした悪魔だ…。

ところで、ロッドはなぜ一人でここにたどりついた?
もう少し何か理由がほしかった。
保安官だから、それだけ??

とにかく、マトリックスのウサギを探すように、面白い映画でした★


p.s
今更表紙を見て気づいたけど、
白がget
黒がout
という見方もできるのか!!!!!
ゆーり

ゆーり