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デヴィッド・リンチ:アートライフのAKのレビュー・感想・評価

3.2
『イレイザー・ヘッド』を完成させるまでの若き時代をクロニカルにリンチが語る。インタビュー『リンチ・オン・リンチ』と被るものは多いが、しかしそれでもファンなら無類に面白いはずだ。

藪から突然現れる青白い裸の女は『ブルー・ベルベット』だし、マリファナを吸いながらの高速道路での白線上での停止は『ロスト・ハイウェイ』オープニングを想起させ、3つの分離した生(アートライフ、友人への顔、基本的な人生)は『マルホランド・ドライブ』のナオミそのままだ。

冒頭でリンチが「新たなアイデアを過去が彩る」と言っているが、まさに本作はその彩りに使われた過去のモンタージュである。

「ある日父さんが下宿先に来た。果物、鳥の死骸、ラップに包んだ鼠を見せた。腐る過程を観察してたんだ。父さんに自分のしてることを見せられて、とても興奮し満面の笑みを父さんに向けたよ!なのに、父さんは物凄く悲しい顔をして「息子よ、お前は子供を持たないほうが良い」って言ったんだ… でもこれには皮肉なオチがあるんだ。その時実は妻は妊娠していたんだ!」

リンチ作品を一切未見の人は、まず本作を観てから『イレイザー・ヘッド』を観るといいだろう。脳味噌が吹き飛んでも僕は知らないけど。
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