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ムーランのmatchypotterのレビュー・感想・評価

ムーラン(2020年製作の映画)
3.5
気付いたら観ないでここまで来てしまった。
せっかくDisney+に入っているのだから惜しみなく観ていこう。

あの当時、散々予告編が映画館でかかってたのに、まさかの劇場公開されずにDisney+限定になっちゃって、映画館サイドを怒らせた作品みたいなイメージになってしまった作品。

でも、ムーランと言えば中華系のディズニープリンセス。何人かしかいないディズニープリンセスの1人。

気高く、男に引けを取らず、対等に。
生粋のお姫さまと言うよりも、父親の不遇を嘆き、不屈の精神で、女性ならでは、ではなく、男性社会で生きることを選び、生き抜き、頭角を表す戦う女性の物語。

この主役の女性が、男と偽って軍に入る。
どう見ても女性にしか見えず、なぜバレないのかみたいなことはあるのだけど、それは元々のアニメでも言えることなのでそこはもう気にすることはない。

ただでさえ、筋力や骨格、肉体に違いのある中で、力や剣術が問われる規律厳しい環境で己の素性を隠しながら、周りと切磋琢磨する姿。

それは、ただただ不当な圧力に屈したくない思いで無我夢中で自分のやれることを選んで進み続けた結果。

“偽り”を抱えて“正義”を突き通そうとする、彼女の葛藤。

そうでもしないと事態は一向に変わらない。無理を承知でひたすら前を見て進み続ける勇ましい姿。
一方で、進めば進むほど、立ち向かっている力の強大さと、己の後ろめたさも大きくなる。

この他のプリンセスにはない独特の泥臭くて血生臭く無骨な背景が印象的なムーラン。

それでも少しずつ少しずつ己の正義と勇気で手繰り寄せていく勝機、芽生えていく友情。
勇敢と無謀の間を行ったり来たりするプリンセス。

男か女か、ということはこの際置いておいて。
どんな苦しい境地で、あまりに大きな壁が立ち塞がろうとも、家族や相手を思い、自分の気持ち1つでやってやれないことはない。
不可能なんてない。ピンチはチャンス。

綺麗事ばかりではなくても、藁をも縋る気持ちだろうが、何にせよ縋れる藁を見つけて縋れるかどうかで、藁に縋れば何かは変わり、その機を逃さなければ次の機は必ず来る。
そして、そういう人には運や救いもまた訪れる。

そういう人がどんな逆風にも立ち向かい、そこに人が集まり、やがて大義を成して人を正しく導く人になる。
それをとてもわかりやすく、強く逞しく伝えようとしてくる、それが、ムーラン。

か弱くても強き意志を持って吹いた芽が、“偽り”をもって“偽り”を乗り越え、“正義”を果たす、強く美しきプリンセス。

1つ言えることは、ジェットリー、ドニーイェン、彼らがもう別格すぎると言うこと。

特にドニーイェン、剣捌きにせよ、ただの会話にせよ、身のこなし、佇まい、オーラ、何から何まで空気感が確実に他と一線を画してた。
何より、彼の登場シーンが、1番鬼気迫る迫力があったんじゃなかろうか。


F:1956
M:12402
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