えっこ

ロニートとエスティ 彼女たちの選択のえっこのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画全体として暗くて窮屈な雰囲気が漂っている、私はロニートがとても不憫に感じた。
幼い頃からユダヤコミュニティーで育ったロニートとエスティ。2人ともレズビアンで恋人だったけれど、町ではそれを公にして生きていく事は難しい。
ロニートはそこから解放されるために父との縁も切ってニューヨークで暮らしていた。一方でエスティは自分の本当の気持ちよりもコミュニティの中で生きていくために心を犠牲にして結婚していた。
お互いが心から愛しているのに別々の道を歩いていた2人、父の死の知らせをきいてロニートは戻ってきたけれど、自分の元婚約者と恋人だったエスティが結婚していることを聞かされてショックを受けているシーンも辛い。
実はロニートを呼び寄せたのはエスティで彼女にそばにいて欲しいと思っている。また会うことでお互いに惹かれ合う2人。
エスティはロニートとキスして気持ちを打ち明けるシーンまではとても大人しく従順そうな人にみえる、でもそれを1度外した後に見えてきた本心を知るととても自然体で可愛らしい女性が出てきて、この人がこのままでロニートと外の世界に出て生きられたら良いのにと思った。
その後に結局バレてしまってエスティの夫ドヴィッドは真実を知った時にショックを受ける、そしてエスティも子供を妊娠している事がわかる。
エスティは結局ドヴィッドに気持ちを隠して生きることはできないことを伝えるけれどドヴィッドの理解で町に残る。
またエスティとドヴィッドが離れ離れになるシーン、思いが溢れていて辛かった。
物語の途中で一度ロニートがニューヨークに帰ろうとする時に、去っていく人は楽でいいねってエスティに言われたロニートが楽じゃないって言い返す気持ちにも共感した。この人は自分の心を守るために大切な人をどれだけ切り離して生きてきたんだろうと。
こんなに思いあっているなら2人で生きていけばいいのにって。エスティはそのまま変わらずに町にいて自分の心を自由にさせて生きていけるのかなとも思った。そういう意味で最後みていてモヤモヤした気持ちが残る。3人がハグするシーンは優しいものだけれど根本的な解決なのかどうか。
でもこれが自伝を元に書かれていて白黒はっきりつけられない所があるのも人間だから、お互いが選択した道で2人が幸せに生きていたらいいな、もしかしたら未来で一緒に生きていたらいいなと思った。
えっこ

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