かなり重たい主題の作品。
舞台は彼女達が言葉にできない息苦しさを代弁していると思わずにはいられないイギリスの冷たい空気とグレーの空に包まれたユダヤ教の中でも厳しい戒律という「ルール」の中で生きる人達の街。
時として息苦しかったり、自分を守ってくれる「ルール」。
その戒律というルールにが雁字搦めにされることを嫌って外に飛び出したロニート。
幼馴染でラビを目指しているドヴィッドと結婚し、沈黙しルールの中で生活してきたエスティ。
ロニートの父の死をきっかけに3人が顔を合わせたことをきっかけにロニートとエスティの恋が再び燃え上がり、3人がそれぞれ自分自身と向き合い生きる道を模索する。
最終的にどのような選択をしても100%満足できる未来は描けない。
それでも彼女達と彼がルールの中で自分自身の意志で行った選択は最善だったと思いたい。
現実は恋が実ってもハッピーエンドとなるばかりではない。
恋が実って愛になったがために2人が離れざるを得ないこともある。
現実の厳しさを突き付けられながら希望の明かりを灯そうとする人は何よりも強い。
ルールから飛び出すことも、ルールの中で生きていくこともそれぞれの強さがある。
原題の「Disobedience(不服従)」と主役の1人ロニートの父であるユダヤ教のラビが最後の説法(自由と選択の難しさ)がこの作品の主題を語っているように思う。
レイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムス。
2人のレイチェルが翳りのある情熱的な美しさを炸裂させていました。