ぽち

ジャッキーと女たちの王国のぽちのレビュー・感想・評価

ジャッキーと女たちの王国(2014年製作の映画)
3.7
超強力なオチでブラックな笑いを楽しめ印象に残る作品。
脚本も書いたリアド監督のセンスの良さが全編にわたって色濃く出ていて、さすが本職漫画家というだけあり、アイディアだけでも脱帽ものだ。

監督と題名でググると出てくるが、普通のストーリーボード、絵コンテと呼ばれる物とはだいぶ違った、まるで漫画のようなコンテの数々が魅力的で、今作を普通に漫画にしてもかなり面白い物が出来そう。

漫画での絵のスタイルがシンプソンズっぽいけど、コンテでは昔で言う「ヘタウマ」のような感じで、これも味がある。

設定が独裁・母性国家。
生物学的に見たらたぶん数百人程度の村規模ならあり得るが、国家としては絶対に成立しないもの。
もちろんこれは「イスラム+独裁」を男女逆でやることで強力に風刺しているのだが、個人的にここがテーマではない様な気がする。

というか、それ以前に「面白ければOK」って姿勢が見えてしまい、イスラムをパロって遊んでいるように感じる。
漫画家の性って感じかな。

これは落ちにも表れていて、「冒涜だ!」から後どうなったのか描かず放り投げているが、国民の怒りが爆発し国家自体が崩壊、って普通なら想像してしまう。
まるで丁寧に築いた砂の城をぶち壊す一瞬手前まで見せて終わるような演出。見事だ。
掘り出し物の良作だろう。



余談。
誰も書いてないけど、オチを除けばこのストーリーはシンデレラでしょ。
ぽち

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