【クエイ流 着床コメディ】
シリーズ“静かな夜”の4本目、これで最終作？His Name Is AliveのMVとして作られたもので、このバンドのMVとしては『Are We Still Married?』に続く2本目になりますね。
白ウサギと少女、という“登場人物”は、『Are We Still Married?』から続投しているようにも思えますが、曲の内容も全く違うし、アチラとは別世界の出来事、と私は捉えました。
改めて見ると、反芻し甲斐、ある！おもしろい！
これは、男の生物的欲望を、からかっている一篇だと思います。物語、としてしまうと一言で終わってしまうものを、顕微鏡的視点を混在させて、拡大引き伸ばし…そしてシャッフルして遊んでいるのではと。
私はコレ、“着床コメディ”と見ました。妊娠を防ぎたい男と、自然な受精との攻防戦。以下もろもろ書きますが、あくまで個人的解釈なので、ネタバレにはならないかと。
精子にも見える卵を拾い歩き、自慰するような仕草を見せる、死神マスクの男。ヴァギナ状の鍵穴を覗き、穴から溢れる光と潮を受け、中に囚われた卵/精子を抜き取ろうと足掻く。
鍵穴の中で好きにしている白ウサギ。死神マスクのやることは邪道！だから邪魔をして、天井での着床を促しちゃえ。
今回、少女は傍観している。気にしているのは自分の体重。股間から経血を垂らすように見えて、実は…冒頭で先に一瞬、彼女がこの受精には無関係、と示唆している。
ところが！最後はやっぱりクエイだー。ものすごう倒錯的な捻りを入れてくる。
ウサギと少女のSMプレイ！イタタタ！そして、鍵穴をヴァギナに見立てた伏線がさり気なく、しかしおそろしくエロティックに、オチる！
…そうか今回、彼女はアリスでなくドロシーだったのか！あのトンデモない、18禁の、魔法の靴ってば！かかとを3回鳴らしたら、どれほどエロい場所に連れて行かれるのか！
行きてえ！…やっぱり、クエイ兄弟のエロスは底なしだあ。
…等々、曲との関わりは後回しで妄想しましたが、曲の鍵コトバが“動脈”で始まることが、生物的欲望映像と充分、連動しています。歌詞では悪魔が最後に、邪魔をしに来るしね！
ところで、邦題の“お前がいなければ間違えようがない”というのは公式のものらしいが、クエイの映像に合わせるなら“Can't Go Wrong Without You”は、“あなたなしではうまくいかない”くらいの方が、合っていると思う。
…そう、あなたがいないと、受精ができないから！
<2022.10.7記>
