紅蓮亭血飛沫

スクリーム3の紅蓮亭血飛沫のネタバレレビュー・内容・結末

スクリーム3(2000年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

“映画のテンプレ”を登場人物に語らせ、その上でどうやって主人公達は生き残ればいいのか?を模索してきたスクリームシリーズ。
本作でもその節は健在でしたが、今回は三作目。
これまで通りのミステリー性、メタ要素を組み込みながら“三部作最終章を彩る完結編”としての要素を展開してきます。

私が本作で引っかかったのは、“本作はどこからどこまで映画のルールに則ったものなのか?”という点。
劇中で“三部作最終章の映画が辿る道筋”を提唱された際、一作目の根本を覆す新事実だとか、今までの出来事全部を裏で操っていた張本人の登場…といったルールが掲示されました。
最終的に、登場人物達を掌で操っていた第三者の事実が発覚。
映画のルールを意識する本作でもその点は同様で、一作目での殺人鬼の正体含め、始まりの出来事を引き起こした元凶が発覚されました。

私個人はというと、こういったシリーズもの最終章で“実は今までのあれこれは全部こいつが裏で手を引いていたのだ”というネタ晴らしは賛否が別れるイメージがあります。
例えば少年漫画とかであるような、“行方不明の父を殺したのはラスボスだった”といった、今まで解き明かされていなかった真実を明らかにする終盤が連想されますが、本作が描いたものは“既に完成されているシリーズの世界観、事が済んだ登場人物達の価値観を大きく左右させる”という博打ともいえる危険な駆け引きです。
一作目にて登場した、狂気に満ちた殺人鬼の振る舞い・思考に心底恐ろしさを感じた私にとって、本作での“シリーズで絶大なインパクトを誇っていた人物が、実は真犯人の思惑によるものでした”という後付けとも取れる落としどころには納得出来ないところがあります。

スタッフが一作目の時点でどこからどこまで視野に入れた上で制作していたのかは知る由もないですが、一視聴者としてはこのような“魅力を削がせる”ようなネタ晴らし、どんでん返し狙いは返って逆効果だったのではないかと思わざるを得ません。
何より、私としてもかなりお気に入りだった、一作目の殺人鬼が織り成す狂気を、途端に陳腐なものとして認識させてしまう事。
シリーズ最新作のテーマを際立たせるために、シリーズが積み上げてきた強みを蔑ろにするやり口は頂けない。
一作目の時点でその節を匂わせる・刷り込ませていたならまだしも、本作で描きたい“ネタ晴らし・どんでん返し”のためにシリーズにおける強み・要素を都合のいいように利用した、と捉えられかねない突貫工事には賛同出来ません。
一作目の殺人鬼が起こした殺人の動機等が、丸っきり茶番と化すわけですから。

とはいっても、本作はあれほどシリーズ通して“映画のテンプレ”をなぞってきたスクリームシリーズ。
先程述べた“シリーズの根本を覆す新事実”を糾弾する我々視聴者をも、スタッフは話題性のために、まんまと利用しているのではないか?とも予測出来るのは難しくありません。
真実は闇の中のような話ですが、他の映画とは一線を成す独自のルールを貫いてきたスクリームだからこその、他の映画では味わえない考察が捗る着地点を見出せたのではないかとも考えられます。

総括としては、あれほど面白かった一、二作目と比べれば惹かれるものは乏しかったというのが率直な意見です。
ですが、もしかするとそういった視聴者の思考すらも意識したのではないか、とも取れる“これまでの積み重ね”があったからこそ出来るブラフはある意味面白かったかもしれません。