映画狂人

川越街道の映画狂人のレビュー・感想・評価

川越街道(2016年製作の映画)
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ENBUゼミナール・シネマプロジェクト第6弾作品(第7弾は大ヒットした『カメラを止めるな!』)として製作された低予算・無名俳優による自主制作映画。
ひきこもり歴10年の中年男が池袋を目指して川越街道をキックボードに乗ってひた走るシンプルなロードムービー、かと思いきや泥臭い群像劇の様相を呈して来るのがユニーク。
一見すると奇妙な登場人物ばかりだが、皆不器用にがむしゃらに愛を求めて生きているだけ。
邦画らしい湿っぽく陰気臭い雰囲気の中にオフビートな笑いを詰めるセンスは先日観た短編『すでにないている』でも感じたが、今回初めて岡監督の長編を鑑賞して改めて「人間を捉えるのが巧いな」と。
見苦しくジタバタと足掻いて踠いて苦悩して人との出会いを通し成長し、それでも生きていく人間臭さが現実以上に現実的で胸に沁みる。
自主映画や学生映画は機会を逃すと二度と観れない可能性もあるので掘り出し物に出会えた時の喜びはひとしお、これだからインディーズ邦画はやめられない。
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