mh

ウォーナーの謎のリストのmhのレビュー・感想・評価

ウォーナーの謎のリスト(2016年製作の映画)
-
本土空襲から日本の文化財を守ったとされている人物を取り上げた長編ドキュメンタリー。
タイトルにもなっているラングドン・ウォーナーはインディージョーンズのモデルになったひと。
・空爆すべきでない場所を示した「ウォーナー・リスト」を作成した。
・岡倉天心に師事、のちに破門。
・いっぽうで敦煌遺跡から壁画を持ち去るなど場所によっては悪評高い。
などのトピックが語られる。
神田の古書店街が空爆されなかったのは、親日家のロシア人セルゲイ・エリセーエフがマッカーサーに進言したからだとする司馬遼太郎の説についても掘り下げる。
ただしこちらも、ラングドン・ウォーナーと同じく推測の域を出ないとという結論。なにも知らなかったので新鮮に思えたけど、このあたりはすべてググれば出てくるね。
日米開戦の回避に向けて動いていた朝河貫一もやってくれた。ラングドン・ウォーナーを通して意見書をフランクリン・ルーズベルト大統領に提出。大統領から天皇には、文面が改変されたのち真珠湾攻撃の直後に届くという歴史の皮肉。
存命である関係者の声をフィルムに収めている努力は買うし、また意味もあると思うのだけど、それによって新しい事実が浮かび上がるわけではないので、少し退屈に思えてしまった。
戦中までの図書館は閉架式というのが、地味にぶったまげたトピックだった。いま現在の普通のスタイルの図書館――本が並んで自由に抜き出せる開架式は、GHQによってもたらされたとのこと。
「明るくなった戦後の日本!」
とは、こういう文化的な側面も含んでいたんだな。
併録されている、軍国日本が中韓で行った焚書坑儒についての散文的なインタビューは長編にまとまらなかったネタの棚卸しかな?
面白かった。
mh

mh