ウォーナーの謎のリストの作品情報・感想・評価

ウォーナーの謎のリスト2016年製作の映画)

上映日:2016年10月14日

製作国:

上映時間:116分

3.4

あらすじ

界一の本の街神田古書店街。古書店の数はおよそ180店。  実はこの街の靖国通り沿いの一画は、第2次世界大戦中空襲を受けなかった。そこには、親日家のロシア人セルゲイ・エリセーエフが関与、マッカーサーに空爆をしないよう進言をしたと作家司馬遼太郎は自書「街道がゆく」の中で書いている。それは真実なのか?追求して行くと、同じように文化財を戦禍から救った英雄として称えられているアメリカ人ラングドン・ウォー…

界一の本の街神田古書店街。古書店の数はおよそ180店。  実はこの街の靖国通り沿いの一画は、第2次世界大戦中空襲を受けなかった。そこには、親日家のロシア人セルゲイ・エリセーエフが関与、マッカーサーに空爆をしないよう進言をしたと作家司馬遼太郎は自書「街道がゆく」の中で書いている。それは真実なのか?追求して行くと、同じように文化財を戦禍から救った英雄として称えられているアメリカ人ラングドン・ウォーナーに行き着く。彼は太平洋戦争当時、空爆すべきでない地名のリスト、「ウォーナー・リスト」を作成し、米政府に進言、京都や奈良を始め多くの日本文化を救ったとされている。しかし、京都が救われたのは、原爆投下第一号の候補地だったからという資料が浮かび上がる。原爆投下の委員長であったヘンリー・スティムソンが頑に反対をしたからというのである。果たしてそれは本当なのか?そしてまた、ウォーナーは、朝河貫一と一緒に第2次世界大戦回避のためルーズベルトと天皇をも動かしたという。しかし、その努力は実らず日本は太平洋戦争に突入してしまう。戦争回避の舞台裏。米国に残る新資料と証言によって今まで語られることのなかった事実を伝える。さらに「ウォーナー・リスト」によって救われたとされる国宝を始めとする数々の文化財。それらを見つめ「戦争と平和」を改めて問い直す。

「ウォーナーの謎のリスト」に投稿された感想・評価

小一郎

小一郎の感想・評価

3.2
京都の神社仏閣、神田神保町の本屋街が第二次大戦中の空襲から免れたのは何故か。米国要人に進言し、守ってくれた外国人がいたという都市伝説がある。前者は米国人ラングドン・ウォーナー、後者はロシア人セルゲイ・エリセーエフ。

ウォーナーの伝説は次のようだ。アメリカに日本の保護すべき文化財のリストがあった。その名は「ウォーナーリスト」。アメリカ人美術史家ウォーナーが作成したこのリストには、東京、大阪に比べ空爆の被害がとても少なかった京都の神社、仏閣が名を連ねていた。

京都は歴史的遺産がたくさんあるから米軍が空襲しなかったということを聞かされたことがあり、そうなんだと思っていた。その根拠となったのが「ウォーナーリスト」だったのかと思って観ていると、京都があまり空襲されなかったのは、原爆投下候補地だったということが明かされる。

盆地で碁盤の目のような京都の街は原爆の破壊力を分析するにはうってつけ。焼夷弾で街を燃やしてしまったら、原爆の破壊力がわかりにくくなるので、空襲を控えただけにすぎなかった。

それではなぜ、原爆が投下されなかったのか。原爆投下のゴーサインを出す将校が京都を好きだったから。彼は戦前2回京都訪れ、魅了されたらしい。宿泊先の都ホテルの社史にはそうした記述が残っている。

だから、京都についてはアメリカが文化遺産を保護したといえなくもないけど、その実態は、将校が自分の過去の想い出やこれからの保養先を台無しにしたくはなかったから。つまりは偶然。「他国は他国の文化に無関心」なのだ。

一方、神田神保町の書店街を空爆しないようマッカーサーに進言したとされるエリセーエフの伝説はその物証すらない。証言も「彼なら多分」「あるいは彼なら」くらい。

元アメリカ人将校は「日本人の怒りに火をつけないようにするため皇居を空爆するなということはあった」というものの、神田神保町について、そのような指示が出た形跡はない。

空から見て皇居はわかりやすいけど、神保町はよくわからない。爆弾投下の精度は低く、結果的には絨毯爆撃になっていたという。

また、大阪の書店街、日本橋は空襲を受け、書店はなくなった。本を残すため、神田神保町への空襲をピンポイントで避けたというのはかなり眉唾のような気がする。

もっとも、このドキュメンタリー映画の言いたいことは伝説の検証ではなく、文化遺産が外国人によって残されたかもしれないことの意義、そして文化遺産は残されるべきである、ということだろう。

ウォーナーとエリセーエフが文化遺産を守ったかどうかは別にしても、彼らが日本を愛していたというのは確かで、日本の文化遺産を守りたいとい思ったとしても不思議ではない。

このことは日本人にとって、誇らしいことだ。日本人が自らの文化を守りたいと思うのは当たり前。しかし、他国の人がそう思ってくれているということは、承認欲求や自尊心を満足させてくれる。

そして文化遺産が残ったおかげで、日本人はアメリカを恨まずにすみ、学問の面でも遅れることがなかったのだ、と。もし、それらを喪失してしまっていたら、現在のような日本の発展はなかったかもしれないのだ、と。

話が拡散ぎみで、少し強引な感じもする映画だったけど、お勉強にはなったかな。途中寸劇みたいなシーンもあり、製作者サイドのサービス精神も感じられた(良かったかどうかは別にして)。

ところで、文化遺産が残ったのは喜ばしいことだけど、もし京都に原爆が落とされていたら、もし神田神保町が空爆で焼け野原になっていたら、この仮定について検証してくれる人がいないかしら。
Osamu

Osamuの感想・評価

3.7
戦争と文化の保存の話。

太平洋戦争中に日本の貴重な文化を守るために尽力した人たちが紹介されます。タイトルのウォーナーのように米国大統領に進言されたとされる人物から、神田の古本屋店員の兵隊を最前線に送り込まないようにした本好きの一上官まで。

異国の文化を守ろうとしてくれたことに感謝し、それが勇気を必要とする行いだったであろうことを想像し尊敬の念を抱くのですが、釈然としないものが残りました。

どうせなら全部残してくれればよかったのに。どうしても守りたいものとそうではないものの境目って何だろう、と思ってしまうのです。

戦争という化け物の前では、自分の手が届く範囲のものを守るのが精一杯、というのは理解できるんですけどね。
衝動的に興味を持って見に行ってみた。
第2次世界大戦を経て、なぜこれほど多くの文化遺産が空襲から免れて残ったのかを紐解く歴史ドキュメンタリー映画。
本題よりも、実は神保町は東京大空襲から免れたエリアだったとか、京都も原爆投下の候補となっていたとか、原爆投下する候補地はその威力を検証できるように敢えて空爆をせずにいたとか、戦前の図書館は閉架のみで開架になったのは戦後の民主化政策の一環であったとか知らないことばかり。
でも一番記憶に残ったのは、お客さんが年配の方ばかりだったことと、戦時中の映像が出るたびに鼻をすする年配のご婦人のリアルさだったなと。