こえ

光のこえのネタバレレビュー・内容・結末

(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

視力を失いゆく写真家と、視覚障害者向けの映画の音声ガイドを仕事にする女。映画作りの中、その情景を目が不自由な人向けに解説する声の仕事なのだけど、そういう仕事がこうして作られるのだと初めて知った。声を入れる作業の中でのフィードバック?的なセッションでは、実際に彼女がその場で読んでみて、それを視覚障害者が聞いてどう思うかということが議論される。写真家はその一人。ぼくはなぜかはわからないけど、その中の一人が、声をどう感じたかとか、ここがよかったとか言っているのを見ていて涙していた。多分そこは台本とかはないんじゃないかな。実際に視覚障害者がその声をどう感じたかを言ってもらって、カメラがそれを撮るという、その描き方が河瀬直美らしいし、面白い。河瀬の映画には、いつも弱い者とか、老いゆく者とか、死んだ者とか、ともすればその声が消えいき戻ってこないかもしれない人たちの声と姿が描かれている。優しいし、暖かい。その「眼」が涙の理由かもしれない。映画の主題は、春琴抄的な愛がテーマのだろうけど。完成した映画で実際に音声ガイドをしていたのはあの人。ああ…合掌。
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