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「光」に投稿された感想・評価

視覚障碍者の映画音声ガイドの難しさ、見える事で見えないものが沢山ある。徐々に失われる視力に抗い 求める世界は命に等しいが、その時がやって来る。中森の細められた眼差しと 美佐子の見開かれた瞳が対をなし、ぶつかり惹かれ合う。北林監督の語りが二人の行く末を暗示しているようで…。藤竜也渋いなぁ➰、樹木希林のナレーションもしっくり。永瀬正敏は素晴らしいが…ドクター・マシリトに見えて…艸。
敦司

敦司の感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

吐瀉物に足を滑らせ転倒 「それは君の主観だ」と感情を露わに激昂する永瀬正敏
素晴らしくよかった。

写真家が光を失うって、この世に神はいるのかって思ってしまう程、辛い事。わずかに見えている光にすがっていたのにそれさえも…切なすぎるよね。

その光を失っていく寂しさや、恐怖やいろいろな思いを演じきった永瀬正敏は本当にすごい俳優だと思った。

派手な話ではなく、展開も淡々と流れていくけど。美しい映像とともに最後まで引き込まれてしまった。さすが河瀬監督だなと思う。
優しく丁寧に作られていて、余韻が残る作品だった。 ラストシーンも良い。

そして音声解説ってこうやって作られるんだって、興味深かった。
見て良かった。
真摯な人ってカッコいいわ。

ここまで真剣に人生に向き合う必要があるのかって分からんけど(これは真剣を強いられた人たちの話だからアレやけど)、このくらい真剣になって初めて見えてくることもあるんだろうと心に留めておきたい。
ぺあ

ぺあの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます


『目の前から消えてしまうものほど美しいのです』

視力、記憶、大切な人、そのどれも失って平気なものなんてない。

ぼろぼろと溢れる涙ではなく、静かに流れる涙が良い。
symax

symaxの感想・評価

3.5
"心臓なんだよ…動かせなくなっても、俺の心臓なんだよ…"

視力を失いつつあるカメラマン中森雅哉…視覚障害者向けに映画の音声ガイドのモニターとして参加し、そこで尾崎美佐子と出会う。

美佐子が作るガイドに"主観が入りすぎている"とぶっきらぼうに突き放す雅哉…


どうやら私は、河瀬監督との相性はイイらしい…

初めて観たのは"朝が来る"…ドキュメントタッチの画作りに違和感なくすっぽり入り込み、さめざめと涙を流す自分がいるという稀有な経験をさせてくれた河瀬監督の過去作を紐解いてみたいとの思いから鑑賞です。

健常者である美佐子と視力を失っていく恐怖と絶望と戦いながら生きる雅哉の関係性が徐々に縮まっていく姿が描かれていますが、私的には単純にラブストーリーとして捉えることは出来ませんでした〜それは余りに唐突すぎるキスシーンの影響があるかもしれませんが、男女の愛というよりもっと大きく、深い関係性を描こうとしたのか?との思いを持ちました…上手く言えませんけど…

美佐子と雅哉、美佐子と母、劇中での映画の主人公重三、それぞれの目指す先に色々な想いが詰まった"光"があり、単に恋愛映画と片付けられず、鑑賞後も色々と引きずられてしまいました。

久しぶりにちゃんと観た永瀬正敏の演技は凄い…
視力と共に失っていくモノへの惜別の想いがセリフだけではなく全身から滲み出しているかのようです。

映画を言葉で表現する事の難しさやもどかしさを感じる一方で、声だけで深い情景を魅せてしまう樹木希林の凄まじさに感動したのでした。
じゅ

じゅの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

バリアフリー上映ってああいうかんじなんだ。まあそれは置いておいて。


自分の感じ取った姿が世界の全てではない、みたいなことなのかなあ。特に、大切で失いたくなかった何かを失った世界は絶望で溢れているように思うけど、希望はさまざまな形でどこかにある、的な。

ある女性は、1つの物について切り取っても自分と他人で感じ取り方が違っていて、世界は自分の目で見えた通りが必ずしも全てではないと知った。
ある男性は、写真家としての生命だった視力を失いながら、その運命を受け入れて「心臓」とまで言ったカメラを捨てて生きていくことにした。


目が見える者は、見たいものだろうと見たくないものだろうと見える通りに見えてしまうから、見たいようにしか見なくなるのかもしれない。
美佐ちゃんは、音声ガイドを付ける映画についての取材で「あやふやなものでなく明確な希望が欲しい」というようなことを言っていた。職業柄、目に見える光景を詳細に言葉で描写する癖(?)があるみたいだったけど、無意識のうちに際限ない視覚情報を取捨選択したり、状況を都合よく解釈しようとしていたかもしれない。
現役の頃の中森さん曰く、写真家は時間のハンターで、小さすぎる自分は大きすぎる世界と向き合っていくのだと。視力を完全に失った後は、覚えていたかったとか、ずっと見ていたかったというようなことを言っていた。世界と向き合うと述べたその実、本当は見たいものも見たくないものも混在する世界の中から見たいものだけを切り出して残しておきたかったのかもしれない。

でも、自分が見えている通りの世界(あるいは、無意識に見たいように取捨選択して切り取った世界)は、どうやら他の人には違うように見えている。あるいは見たがっている。
バリアフリーの会場で行われる結婚式への招待状というただただおめでたそうな物は、受け取った者にとっては別れた妻の結婚式という最高に出たくない催しだった。
美佐ちゃんの母は痴呆症で、父は随分昔に失踪した。そんな母がふらっと出て行った先は山の向こうに沈む夕日が見える場所で、その場所は彼女にとってまだ傍にいる夫が帰ってくる頃合いを教えてくれる場所だった。
音声ガイドは、ガイド者の見え方を対象者に強制する点で時に押し付けがましかった。

自分の見える・見たい世界が全てではない。見え方の個人差と、見たさ故の歪みによって人それぞれ世界が違う形になっている。(それで、たぶんどれも真でも偽でもない。)
一旦、普段身を置いている場所から離れると、いろんな音が聞こえるかもしれない。目を閉じるともっと聞こえるかもしれない。


ある人にとっての見え方の世界には、その人にとっての失いたくないものがある。作中で音声ガイドをあてていた映画のじゅうぞうさんにとっての妻とか、中森さんの視力とか。
じゅうぞうさんの妻とか中森さんの視力が失われるのはまるで彼らの世界の終わりだった。だから、音声ガイドのモニタの人が述べていたみたいに、失われゆく大切な何かを手放さないように縋り付いた。

でもじゅうぞうさん曰く、失われるから美しいのだそう。

全盲になった中森さんを美佐ちゃんが迎えに行こうとしたとき、「探さなくても追いかけなくてもそこに行くから待っていて」みたいなことを言っていたっけか。
なんやかんや2人惹かれあっていたから、美佐ちゃんは中森さんの「視力」相当の新たな存在の象徴になるか。
大切だった何かを失ってもそれが全てではなくて、今まで見えていなかった大切な何かが自ずと見えるようになってくるのかもしれない。

であれば、じゅうぞうさんが妻に巻いたスカーフを手放したように、中森さんが心臓だったカメラを海に放り投げて写真もフィルムも燃やしてしまったように、失われた何かについて嘆くのをやめて違う方に目を向ける勇気を持ってみませんか、みたいな雰囲気を感じた。
整理中の散文映画

視覚障害の元カメラマンと音声案内編集者の恋愛というマニアックな着眼点はよかったのだが時間的制約でもあったのだろうか?作品のテーマを絞り込めないまま散らかし放題であっけなく幕が閉じてしまった。「あん」が良かったのでかなり期待したのだがもう少し時間をかけて脚本を煮詰める余裕があれば。
★★★liked it
『光』 河瀨直美監督
Radiance

永瀬正敏 as 視力を失いゆくカメラマン
&水崎綾女 as 映画の音声ガイド制作者

喪失&受容
見えなくても感じる
優しい繋がり

Trailer
https://youtu.be/yKF_t2RgU2M
daruma

darumaの感想・評価

4.0
河瀨直美監督。これは…メタ構造がグッとくる作品ですね。喪失がテーマかなと思います。父親を失い、さらに母親も進行形で失いかけている女性と、視力を失いかけている男性。劇中映画では妻を失いかけている男性(で合ってるかな?)。映画の音声ガイドの存在は知っていたけど、制作過程は全く知らなかったのでその点も興味深かった。

序盤、河瀨マジックにかかり(どうしても眠くなります…映像があまりにもリアルすぎて。あと台詞が少ない。近日公開されるオリンピックのもそうですが、いかにもドキュメンタリー向きの監督だと思います)、行きつ戻りつしましたが、最後、なるほど!
劇中映画の最後がどうなるのか、という点も気になるので、そういう意味でもかなり後半は引き込まれました。

永瀬正敏さんは「あん」ですよね。
そしてまさかの!(エンドロールで気づいた。よく見て!^^)

主演の水崎綾女さん、とてもよかったです。
綺麗系の女優さんがぴったりの役。

小市慢太郎さんと神野三鈴さんは、なんかもうこういう役が鉄板!という感じです(めちゃくちゃ褒めてる!)
あと大西信満さんもわかりました^^(柴公園で好きになりました)

尺が100分程度とそこまで長くないので、わりとわかりやすく「(監督に対して)それ言っちゃいかんやつ…!」とか(でもこれは意外と伏線になっているかもしれない。上手く回収されてる気もする)、偶然の産物とかフィクション仕立てになっている部分も多々ありますが、総じて、綺麗な作品。

(監督は奈良ご出身ですよね…ぬかるみのシーンだけは最初えー!って思いましたが(やらせっぽいというか、解かるだろう…と)、でもこれきっと地元だからそういうの体験的にあるんだろうな…と後から気付いて、おお…と思いました)

途中、ドラマ「愛し君へ」を思い出しました。
最後に見たいものは何ですか…
(絶対泣けるやつですよね。いまだにタイトル憶えているという事は、私の中で余程印象深い作品なのだと思います)

劇中映画、実際に作品があるんですね。観てみたいです。
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