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特捜部Q PからのメッセージのGASSのレビュー・感想・評価

特捜部Q Pからのメッセージ(2016年製作の映画)
3.9
人気の特捜部Qシリーズの3作目最新作です。
前2作品とは監督が変更になっているので多少の不安感を持ちながらの鑑賞となりましたが、それも杞憂に終わりました。
個人的な好みで言えば今作が一番面白かった。

未解決事件を専門に扱う「特捜部Q」のマークとアサドは、海で発見されたボトルに入っていた救いを求めるメッセージの捜査を始める。
送り主は「P」。
捜査を進める2人の前に立ちはだかるのは神・宗教という目に見えない力だった。

今作でもミレニアムドラゴンタトゥーの女と同じ脚本家が脚本を書いているためか、北欧映画らしく終始暗い雰囲気の中で進むストーリー。
犯人は冒頭で判明するため謎解きの面白さを期待するとがっかりしてしまうかもしれませんが、ぶつかりながらも共に捜査を進めるマークとアサドが真相に近づいていく姿は緊張感たっぷりで見応えがあります。

特に印象的だったのが、今作では2人の宗教観の違いが浮き彫りになったこと。
現実主義者であるマーク、一方大きな力を信じ人生は神秘的なものだと考えるアサド。
観客はこの時点で自分はどちらかと考えることになるでしょう。
ちなみに私は趣味で御朱印集めをしていますが、どちらかと言うとマーク寄り、無神論者です。

そんな超が付くほどの現実主義者であったマークが、ラストでは涙を浮かべながら多少なりとも考え方に変化が見られたのが感動的でした。
ネタバレになってしまうため書きませんが、絶体絶命の時に大きな力が働いたのを感じたのでしょう。
その力をもたらせたのは相棒のアサド。
アサドを見つめるラストシーンにはそんなマークの心が映し出されていた気がします。

回を追うごとに面白くなってきた特捜部Qシリーズ。
未見の方は是非この至極の北欧ダークミステリーを堪能してみてはいかかでしょうか。
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