スキピオ

gifted/ギフテッドのスキピオのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.0
自殺した姉の娘を代わりに引き取り育てる男、成長した娘は天才数学者であった母と同じくその高い才覚を見せ始める。学校や祖母は飛び級進学や専用プログラムを勧めるが、彼はなぜか執拗に断り続ける…という話。

同マーク・ウェブ監督作のクロエ・グレース・モレッツを抜擢した「500日のサマー」序盤シーンを想起するほど、子役マッケナ・グレイスのキャスティングと本当に「天才児」と見紛うほどの彼女の演技が素晴らしい。

ただ厳しいことを言えばストーリーは親権争いモノ、片親モノ的にわりと想定の範囲内で進み、それ以上の驚きやオリジナリティはなかったのが残念。ハッピーでほのぼのとする前半と打って変わって、後半は思ったより全体的にビターで大人向けな感じで進む。ラストに「ある仕掛け」はあるんだけど、もっと作品のフックや象徴になるような「楽しいシーン」「物語がドライブするシーン」が見たかった。「はじまりの旅」もそうだけと片親(的な人)が頭のいいマトモな人であるほど作劇上、起伏に欠けてしまうので不利なんてかわいそうだけどなぁ。

それでも最近流行りの子離れ親離れ的な、親と子の関係性について子どもはいなくても深く考えてしまう良作。「アメイジング・スパイダーマンシリーズ」は頓挫して残念なことになったけどマーク・ウェブ監督、いい作品を作った!マーベルと色々あって「シェフ」をヒットさせ「ジャングルブック」でもう一度メジャーに返り咲いたジョン・ファブローのように、またきっと大きな舞台に舞い戻れるでしょう。