みゆ

覆面系ノイズのみゆのレビュー・感想・評価

覆面系ノイズ(2017年製作の映画)
3.7
2017.12.06(240)
劇場


原作者の福山リョウコは友人で、原作の連載が始まった時から並々ならぬ情熱を注いでいる姿を知っているので、今作は是非とも劇場で見たかった。

今作については原作を知っていてアニメも見ているので、映画を見た方のレビューも事前に読ませて頂いて、ある程度こういう感じなのだろうかと想像していたのだが、実際はもっとずっと良かった。

とにかく登場人物がみんなキラッキラしている。悪い人は誰も出てこないし、変にメッセージ性がある訳でも世界観を広げ過ぎる訳でもなく、バンド好きな高校生たちが、自分たちの世界の中で懸命に生きている。その感じが今の私から見ると可愛らしくて健気で、とても良いものに思えた。

中条あやみちゃんが演技をする姿を初めて見たのだが、歌も含めてあんなにニノになりきれるとは思っていなかった。歌うとき人の顔はどうしても崩れる傾向にある。どんなに美しい人でも大きな口を開いて腹の底から発声すると、そうでない時に比べて表情が歪むものだ。だが彼女は違った。歌えば歌うほど可愛らしく魅力的に。わざとらしい感じが全くなく、コミックスのニノがそのまま実写化されたようで感心した。

ポスターで見た時は違和感があった志尊淳くんも完全にユズだった。ユズは身長が低くまつ毛がバサバサという設定で、志尊くんはそれほどまつ毛が長い訳でも多い訳でもないので、そこはエクステをつけた方が良かったんじゃ?と感じたが、身長については全く気にならないほどユズらしかった。

全体的に映像がとても綺麗。鎌倉の美しい景色はもちろんだが、PVのように大胆に被写体に寄ったりする演奏シーンも、臨場感があって実写の良さが出ていた。

あとは楽曲も良かったな。映画を見る前に楽曲だけを聴いた時は、ちょっと合わないんじゃないか…と不安になったが、一本の映画の中で物語と共に順に披露されていくと、途端に魅力を増してくる。かっこよくてザワッと鳥肌が立ったくらいだ。

もちろんちょいちょい突っ込みどころはある。

原作やアニメを知らないと、時間が短い分展開が早かったり、説明不足なまま都合よく進んだりするので、え?っと戸惑ったり置いていかれてしまうことがあるかもしれない。

ニノのマスク設定も曖昧になっているし(これは中条あやみちゃんのお顔を撮りたいという大人の事情があるだろうから仕方ないのだが)、真野恵里菜ちゃん演じる深桜のヅラ感がどうしても気になってしまったり、小関裕太くん演じるモモが「そこ普通気づかないだろ」という距離から後ろ姿だけでニノやユズに気づくとか、そういう違和感は正直あった。中島亜梨沙演じるモモのマネージャー月果がニノに会いに行く場面も、経緯が省略されているので唐突過ぎるのだ。

だが絶妙なテンポで進んでいく映画を見ていると、そういったことは瑣末なことに思えて、だんだんと気にならなくなっていく。

ラストが私はとても良いと思っていて、鑑賞後はかなり満足した。原作やアニメとは違う、映画オリジナルのラストなのだが、最近の続編ありきで意味ありげに〆る作品とは違って、一本の映画としてきちんと完結していて、この形は理想的だと思えた。