今世紀入ってからの北野映画に何度失望したかわからないのでもう未見のまま放置していたけれど、どうにもアウトレイジシリーズだけは目が離せない。
ただヤクザ同士が啖呵を切り合い勢力図が窺い知れていくだけの前半がやたら面白いのだ。
ただの三下や鉄砲玉レベルに津田寛治や原田泰造を配してわかりやすいからか、構図がスルスル呑み込めて、ヤクザなどどいつもこいつもさっさとくたばればいいと思わせてくれるが、そうそうスッキリはしないところにも根本的にヤクザに同調せず憧憬も抱かずカタルシスも与えない、武の怜悧な距離感を伺わせる。
定期的に武映画が数学的に精緻なタイミングでの編集を施している話題が出てくるが、本作の「リズム」の心地良さもそこにあるのだろうか。