鈴木ピクさんの映画レビュー・感想・評価

鈴木ピク

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アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd Season 第1章(2024年製作の映画)

2.5

「1期よりは」遥かに良い。ただそれは限りなく低いハードルであって、以前として「みんなが頭の中で思い描いてたシャニマスの世界ってこんなペラペラのCG世界だった?」という疑念は抱いている。本当にこれでいい>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.3

映画のラストにここまで関根勤ばりに「バッカでえええwww」と笑うことがあるだろうか。なまじ真剣に見ていた時間もあるだけに。やりやがった! アイツ遂にやりやがった! だ。思えばルカ・グァダニーノの前作『>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.3

うわあああ難しい。本当に良い映画です。賛辞を贈る数多の声にも全部同調できる。その上で、終盤の「明かされる過去の畳みかけ」にちょっと笑ってしまう自分がいた。ただアレクサンダー・ペインの新作であるというハ>>続きを読む

劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:(2024年製作の映画)

3.8

総集編にすることでこんなにシンプルに「映画」らしくまとまるなんて、という点に実はそこまで驚かなかった。原作の4コマの中からシンプルな映画になるようなストーリーの枠組みを丁寧に脚本の吉田恵里香さんが切り>>続きを読む

夜を越える旅(2021年製作の映画)

4.4

面白かった。低予算の邦画を褒める時にどうしても付きまとう「現場の苦労を考えて細かい不備には目を瞑る」ターンがしんどいマンなのだけど、本作は「的確なショットを切り取り、撮影と照明に手を抜かなければ予算感>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

2.8

「がんばってベストセラーを映画化しました」感のある、展開ありきの少しずつ雑な演出、微妙にカット繋がってなかったりする編集、何か必要な尺が飛ばされたような気がする脚本、まだこういう映画がハリウッドにもあ>>続きを読む

ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.8

格差が進んだ果てに起こる暴徒の氾濫と国家の抑止、その双方が一切の容赦なく描かれ、翻弄される人々が上も下もなく(と言いたいがとばっちり喰らうのはもっぱら下の人々)身も心もズタボロに処断されていく。
残酷
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MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.1

色んなビッグ・バジェット映画要素を全部詰め込み、確かにこんな大作映画を望んでいた筈だがどこか魔改造されてる不格好さのあるシリーズ。マジで不格好さもパワーアップしている。前作で無駄に豪華キャスト並べたは>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.1

ただただ夏と戯れるような、映画の文脈を切り刻んで遊んでいるような映画。先に『サスペリア(リメイク)』も『チャレンジャーズ』も見た後だと、これが本作の作風に見合った処理ではなくマジでルカ監督の手癖なのだ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.2

スムーズな画面の流れで通すことの痛快さ。なぜかテーマがお説教だなんだ過小評価されている『マイ・エレメント』に続き、アニメーションの特性を使った視覚情報の快楽が全編通じていて、マリオブラザーズと銘打ちな>>続きを読む

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(2021年製作の映画)

4.8

今年で劇場鑑賞は計12回目?らしい ちなみに自宅でBDで見た際はそこまで刺さらず、監督の目論見通り映画館体験として設計されているんだろう。

流石にもう冷静に観れてしまったが、観るタイミングによっては
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蛇の道(2024年製作の映画)

3.4

黒沢監督&主演ダミアン舞台挨拶&サイン会付き鑑賞。

Vシネ量産体制の延長線上で作られたオリジナル版の、廃墟しか使えない早撮り低予算映画のあのみじめったらしさが、予算のあるフランスロケよりずっと映画的
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.6

陰惨、低予算、まとめ撮り、廃墟。
ネガティブな90年代の濁った空気すべてを凝縮して、謎の時空にまで到達する、ほぼダーク・ファンタジーの域。
空間はこうやって捉えろという見本かつ、他の黒沢映画に比べても
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夢追いウサギ(2020年製作の映画)

4.7

『ソウルフルワールド』と同時上映されたピクサー短編。
しかしディズニー/ピクサーのどの路線とも一線を画した手描きの愛らしさ、かつカートゥーンから脱却した、といって和製アニメでもない、もしかするとディズ
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.7

ドイツの中学校で、盗難事件の犯人探しをきっかけに一人の教師が混乱の渦に陥り孤立していく.

凄かった.事前に見ていたこのスチールや不安定に主人公につきまとう撮影から予想した内容さえかわして、どこにも安
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

クリアでスマートで、近年の邦画が破りきれなかった辛気臭さを貫通してる傑作
見終えるとこのクリアでスマートな視線の持ち主が何なのか、神ではなくこの世界の、あるいは視座ですらなくただ映画が在るとわかる
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ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉(2024年製作の映画)

4.5

少年マンガの主人公になれなかった全ての少女たちの友情(宿敵)・努力・勝利を凝縮したエネルギー体

ひたすら過剰にアニメートされる肉体が、景色が、作画アニメ最高峰の無茶をし続ける事だけが作劇かの様で、ク
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関心領域(2023年製作の映画)

4.3

アウシュヴィッツの隣りで暮らしたナチス一家の平和な日常を、複数の定点カメラ映像と、実際の距離を測った「ユダヤ人の断末魔の悲鳴や処刑音」を背景にして切り取る。
圧倒的に劇場体験であり構造の映画。

TL
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トラペジウム(2024年製作の映画)

3.8

主人公の目的がわからないまま計画だけが淡々と進行する序盤から、けろりら(!)作画がぼざろとは真逆の突き放したようなクールな演出のもと炸裂 不穏の持続
瑕疵もあるけど、和製劇場版アニメで演出と作画そのも
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セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

4.1

あるアイデアを貫通した映画に対する「やり切ったな!?」という快感。
それも「人間居住エリア舞台のサメパニック映画(メジャー)」という誰しも新フォーマットの敷設は難しいかと思われた挑戦に成功している偉業
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好きでも嫌いなあまのじゃく(2024年製作の映画)

2.1

(脚本や演出やショットではなく)作画自体は良い、ということが流石に鼻についてきた。
長編劇場版アニメ、それもオリジナルを作れるチャンスなのに、ここまで「これが作りたい」という意志を感じられないものか。
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ザ・ディープ・ハウス(2021年製作の映画)

3.7

YouTuberカップルが湖底のゴーストハウスに向かうまでの段取りを淡々と映す、欲無さすぎな前半。いざゴーストハウス突入してからもテンポ感はそのまま、「この題材でやれるだけの範囲を職人的に描き切ります>>続きを読む

クラメルカガリ(2024年製作の映画)

3.0

クラユカバは映像体験としては凄かったからちゃんと話を作れる人が付いてくれたらーーどうも配給ツインエンジンもそう考えたようで、『デュラララ!』の作者:成田良悟がストーリーで参加し、なんと『デュラ』の人気>>続きを読む

クラユカバ(2023年製作の映画)

3.4

加点100減点100みたいな極端な体験。

兎に角オタクの「好き」を詰め込んだ怒涛のテクスチャー地獄.それを無限に繰り出せてしまえるからこそ、こちらが浸れる隙間なく勝手に話が流れてどうでも良くなる.
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ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

2.3

あの毎週劇場版アニメのようだった(実際、ジブリやI.Gの生え抜きアニメーターが揃っていた)TVアニメ『ハイキュー!!』が、ファーストスラムダンク公開の一年後に満を持して劇場版公開。

一本のアニメ映画
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.7

まさか令和の世に金子修介監督作でここまでテンション上がるとは。
まるで一定のBPMにつられて野心を抱いてしまうかのように、不要な間を入れずに交錯しぶつかり合う大人と子供の犯罪計画。
個人的に典型的な邦
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.9

劇場公開スルーされ、今春おためごかしのように2週間ずつ公開されたピクサー3作の1本。
『私ときどきレッサーパンダ』に続いてこちらも普通にピクサー屈指の出来の良さ。
実は最初にビジュアルなど見た時、魂の
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.8

劇場公開スルーされ、今春おためごかしのように2週間ずつ公開されたピクサー3作の1本。
普通にピクサー屈指の出来の良さ。
「スパルタママに育てられてはるがオタク仲間内で快活に生きているオタク女子」
「ア
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.7

少女からプレスリーの妻になったプリシラの物語。ただしそこにはプリンセル譚のようなロマンは薄く、ただただ狭い視野、狭い世界をすべてと信じ込まされたプリシラのわびしさがある。なんと薄暗い画面。ソフィアは少>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

4.1

アドベンチャー映画のハッピーエンドのその後の話みたいな導入部が結構ニッチな魅力を持っていたと思う。世界観も良くも悪くもデタラメで、日本の少年漫画みたいな雑さと自由度を感じる。ただ前半のツイストを終える>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.9

『ファースト・カウ』は「どうしてこんな奇妙な映画を作れてしまうんだろう」と吃驚しきりだったけど、本作も併せて見ることで未知なる既知の発見とでもいうような歴史の掘り返し、西部劇の盲点、つまり映画の盲点を>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.3

今のアメコミ映画が退屈なのは、観客だけじゃなく作り手もSFXやヒーローの存在に麻痺してしまっていたからだと思う。
本作、アンディ・ムスキエティ監督はぶっちゃけMCUにもいる全然珍しくないザ・フラッシュ
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ブラックアダム(2022年製作の映画)

2.6

贔屓のジャウム・コレット=セラ監督作なので良いとこ探そうとして観ていたけど、それでもあまり面白くなかった。
序盤の市街戦やジャスティス・オブ・ソサエティ(ジャスティス・リーグとの名前かぶり、自分たちで
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シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

2.4

あの快作の続編なのに信じられないくらいつまらない。でも監督は同じデヴィッド・F・サンドバーグ、一体何が。

・大人ヒーローに変身できる子供たち
・ヘレン・ミレンとルーシー・リューが完全な悪役
・ジャイ
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ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

3.4

何度となく映像化されてきた『ドラキュラ』原作にあってシンプルな舞台立てにも関わらず実は面白く映像化するのが一番難しい気がする『デメテル号』パートを、独立させて映画化。
完全に「船の上の『エイリアン』」
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.4

前半の駒井蓮の台詞聞き取れねえ。。。

否定も肯定もせず、ただこうした繊細な傷つきやすさが題材として扱われるのは良いことだと思う。そのことと映画として良いかはまた別で、まずこのぬいサーから「弾かれる」
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