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アウトレイジ 最終章のshinobuのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
4.7
北野武の信奉者であるので、あまり参考にならないレヴューである事を最初に。

冒頭。青空と海。
看板にハングル文字。
韓国だろう。
いい歳した大人がやる事もなく魚釣りに興じてる。
「パン」
乾いた銃声が響く。

そして夜の繁華街。
キャメラは車の上を写す…

「ある種の感覚」を持ち合わせた人間であれば、この一連の流れで惚れ惚れするだろう。

ビートたけし扮する大友は死を恐れていない。死に場所を探しているようだ。そして青空に海と来たら北野武監督の「ソナチネ」(93)を彷彿してしまう。
大杉漣と津田寛治も出てるし。
「ソナチネ」はボクが1番好きな映画だ。

また本作は白竜と岸部一徳の存在と松重豊の行動に監督デビュー作の「その男、凶暴につき」さえ彷彿してしまう。

「ある種の感覚。」
それは北野武監督作とりわけ初期作品にはそのある種の感覚を持った人間を惹きつけてやまない何かがあった。

しかし、そのある種の感覚を北野武は「キッズリターン」(96)を最後に意図的に避けてきたはずだ。しかし本作で再びある種の感覚が戻ってきた事を素直に喜びたい。

アウトレイジ シリーズの魅力といえば車だ。
あれほど車を色気を感じさせるほど美しく撮れる人はいないであろう。

そして、ビートたけしを最高に美しく撮れる人間も北野武しかいないだろう。

スーツにサングラス。右手にはピストル。そんな姿が震えほどに美しい。
実際に乱射シーンのあまりの格好良さに震えた。

おまけ。

ボクはビートたけしのオールナイトニッポンに、ぎりぎり間に合った世代。
父親が我が家を脱退し、兄貴は上京した。
そんなボクにとってビートたけしは精神的な父親のような存在だったといえる。

ビートたけしのラジオと著書と映画とテレビにやられ続け30年近くになるが、改めて同じ時代に生きている事に感謝したい。

感謝って何に?

神さまはよく分からないから、偶然に奇跡にいや、両親に。
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