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散歩する侵略者のIdeonのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
4.0
主人公の鳴海は、行方知れずになっていた夫、真治を病院に引き取りに行くが、夫は記憶障害らしく、何だか様子がおかしい。自分は宇宙人で、地球を侵略する前に地球人が何たるかを調査に来ていると言う。その方法は人間の頭から概念を奪うというやり方で、概念を奪われた人間は人が変わってしまう。初めは病気の症状だと思っていた鳴海だったが、真治の話を理解し、ガイドとして行動を共にするようになる。そうこうするうちに、真治の仲間と称する怪しげな男女の高校生も現れ、ジャーナリストの桜井と共に信治を探し始めるのだったというお話。
SFの形を借りた風刺劇であり、ラブストーリーとも見てとれる不思議な作品。さまざまな概念に縛り付けられて生きている人間は、ギリギリまで追い詰められないと、本当に大切なものが分からないとでもいうのだろうか。一番大切なものが侵略を食い止める鍵になる。何とも捉えどころがないが、長澤まさみのベストアクト、松田龍平しか演じられないような怪演、ますます好調の長谷川博己の熱演、恒松祐里の素晴らしい身のこなしが見られる見どころの多い作品だ。もちろん、黒沢監督お約束のスクリーンバックのシーンも実に印象的に登場する。
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