占野

散歩する侵略者の占野のレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
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思ってたより何倍も良かった。

個人的な印象で言うと、「三度目の殺人」は演出と映像が素晴らしかった、のなら、「散歩する侵略者」はそのストーリーや演技の過程、そして結局描きたかった題材の美しさが素晴らしかった、という感じ。

最初の金魚すくいのカット。「散歩する侵略者」をもろに表していて、とにかく水の音が綺麗。その美しさがまた不穏さを感じさせてた。

そして設定というと、人間から「概念」の理解を奪って侵略する宇宙人。私はすごいわくわくするなって思ったけど、一緒に見に行った友達はバカっぽいって言ってた。設定自体はバカっぽいけど面白かったと言ってた。
そういう意見も分かる。交信の仕方とか最後の侵略シーンのチープさとかね。
SFってバカっぽいかもしれないけど、そこにわくわくを見出すことが出来たらこの上なく楽しいジャンルだと思う。
バカっぽいとわくわくするラインは人によって違うから難しいけど。

あと書いておきたいのは、やっぱり長谷川博己は演技が上手い。あのプチ演説みたいなシーンと、爆撃されても死に物狂いで立ち上がって歩くシーン。鳥肌モノ。両極端の雰囲気を自分の内に持っている人というのはとても魅力的だと思う。高杉真宙もそういう匂いをまとってるな。儚さと狂気と。
俳優たちの演技を見るってだけでもじゅうぶん楽しめると思った。



〇私が好きだと思ったところ
ラブホテルで、しんちゃんに「愛」という概念を与えたいなるみ。
「私の頭の中それでいっぱいなの。」
しんちゃんに対する愛情でいっぱいのなるみ。最高のセリフだよね。
占野

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