ひかる

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のひかるのレビュー・感想・評価

3.3
夏の晴天の下に緑も海もあって舞台がすごい綺麗なのに、変に下ネタとかセクハラ発言が盛り込まれてて勿体なかった。あと、キャラクターの発言や振る舞いが全体的に粗野に感じられた。

プールサイドでヒロインの顔にトンボが止まって、捕獲を試みさせられるシーンがシュールすぎた。女の柔らかさを蛾の腹に喩えたり、エロチシズムとグロテスクの共存を狙ったのだろうか。にしてもトンボて。(もしくは、複眼を本作テーマの複数世界線の伏線にしている?)

本筋そのものは結構好みだった。
もしもの世界線に巻き戻すっていう明らかやばい力を繰り返すうちに、だんだんその副作用で世界が不穏になっていくっていうの好み。主人公の行動の選択もヒロインに一途で良かった。

電車の中のシーン、半ば唐突に始まる歌パートが作品の雰囲気から明らかに浮いてると思った。散々16才の大人っぽさを求めてたはずなのにめちゃメルヘン。
また、唐突に線路が分岐した後は銀河鉄道の夜の隠喩オマージュ? だとしたらヒロインの最後のセリフと、ラストシーンの出欠取りから考えると……?


インセプションのような観客に委ねる系のエンドだったけれど、この作品は白黒バシッと決めた方が良かったんじゃなかろうか。
劇中では夏休みっていう節目が終わったのにこちらは宙ぶらりん、色々と暗喩っぽいのや意味深なセリフがあっただけに凄いもやもやする。
例えるならコイントス裏か表か分からないんじゃなくて、コインを投げたのか、投げなかったのか、はたまた最初からコインを握っていなかったのか、その辺を委ねられたような。
でも映像が良いシーンも結構あって、特にガラス玉が砕けて破片の中それぞれにってシーンはすごい良かったと思う。
ひかる

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