ハシオ

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のハシオのレビュー・感想・評価

2.5
本作は、1993年にフジテレビで放送された岩井俊二監督のテレビドラマを原作としたアニメ映画。

主題歌の『打上花火』は大ヒットで、当時至るところで聞いた気がしますね~。
そして、プロデューサーは『君の名は』の川村元気。
さらに主人公とヒロインの声優は菅田将暉に広瀬すずという豪華な布陣です。

『君の名は』に続く大ヒットの予感がするアニメでしたが、話題は主題歌ばかりで、肝心の作品についてとくに評判になっていなかったので(どんなもんなんだろう…)と金曜ロードショーで今更ながら見てみました。

見てみた結果、これはキツイだろう…というのが感想です。
まず、元々原作である岩井俊二のドラマが50分なんですが、アニメ映画にするにあたって約倍の90分の尺に変化。
だからなのか、ダラッダラッと冒頭から30分にわたって進展もなく物語が進んでいきます。
この時点で最早ウンザリ。

加えてアニメ制作をやっているシャフト独特の、スローでケレン味たっぷりの演出に、何だかイライラしてくる。(というかヒロインのなずなが『化物語』の戦場ヶ原にしかみえない)
シャフトの描くキャラクターとか演出って、深夜アニメリテラシーがないと中々キツイんじゃないのかな。
なぜこれを大衆向けとして大々的に公開したのかは謎です。

あと気になったのは、無意味なエロティックさ。
主人公たちの担任は巨乳で、しかも同僚の教師とデキているという設定になっており、「"あの時"は酔っぱらってて…」など、大人な会話をわざわざしています。
また、ヒロインの母親も男をすぐに作る奔放な女性として描かれ妙に生々しい。
オリジナルにはこういう要素全くなかったのですが、子どもと汚らしい大人たち、みたいな対比にしたかったんですかね?
特に活きているとも思わないですが。

そもそも、この作品をアニメでリメイクという時点でダメだった気もしますね…。
オリジナルはひと夏の小学生時代の思い出のような、『スタンドバイミー』的ノスタルジーさが良い映画だと思うんです。
本作には、そういった爽やかさ、淡い感じが一切ない。

しかも、このアニメは原作の内容をかなり拡大していて、セカイ系的なお話にシフトさせようとしているんですが、本筋自体は“好きな子と過ごす小さなお話”だから
スケールも小さく、全くノレない、ラストのカタルシスも感じられない。

そして、演技も菅田将暉が全然ダメ…。
いや、棒読み云々とかっていうよりも声優として菅田将暉を起用した必要性を全く感じられなかったんですよね。
逆に広瀬すずはヒロインのミステリアスで妖艶な感じがしっかり出ていて上手いなと思いました。
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