ちゃーはん

夜は短し歩けよ乙女のちゃーはんのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
3.6
かっこ悪いのがかっこいい。
同時期の公開とあって、比較されるのは仕方がない「夜明け告げるルーのうた」
どちらが良いとか悪いとか言うつもりはないし、好みといっても、どっちも良くてこれまた難しい。

「四畳半神話大系」ファン待望のこの「夜は短し歩けよ乙女」は、どう見えただろうか。
主人公である先輩を見ていて思ったのは、アホだなーとかださいなーとか、、、ただ、男なら分かる。愚直に恋をした経験のある男なら、きっと分かる。

なるべくクールに振り向いてもらおうと、あれやこれやと好きな人へアプローチをかけるのだが、空回りしたり、何をやっても上手くいかなかったりする。そして、自分はできる限りのことはやったのだからと納得させる。何度も心が折れかけながら、それでも、止められない想いと付き合っていくしかない。

特に終盤の、空想のシーン?男は頭でいろんなことを考える。どうしたらいいか、どんなことを話そうか、クールぶりながら、、、でも、妄想は止まらない。何人もの自分が、あーでもない、こーでもないと議論を進める。一方で、女の人はそんなことは知らんぷりでけろっとしている。

あの妄想シーン、何人もの自分が登場するシーンは、深く自分にも投影してしまった。そして、それをあんな壮大なアニメーションで表現した湯浅監督恐るべし。そして、男の愚直なまでの一途な想いは届かないもの。そうやって男は強くなる。ダサさ、かっこ悪さ、どこまでも真っ直ぐな故に、突き抜けすぎて届かず通り過ぎてしまう。

ルーとは真逆の恋愛観を見せてもらった。やっぱ、男はダサくてなんぼ!たとえ、願いは叶わなくとも。
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