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夜は短し歩けよ乙女のtsuraのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
3.8
圧倒的な京都の輪舞。


先斗町を舞台に偽電気ブランと黒髪の乙女と春画と詭弁が踊り狂う夜の街を奔走したかと思えば、下鴨神社の古本市で片想いのあの娘が愛する絵本獲得の為に死にものぐるいで火鍋に没したかと思っていたらあれよあれよと、学園祭の季節となってパンツ総番長のミュージカルが白熱の色恋沙汰に展開したかと思っていたら、あれよあれよ一気に真冬で流行り風邪にうなされる京都は舞台に卵酒作って御見舞いの道中。

そして、春に成りいて京大近くの喫茶店。

眩暈するようなジェットコースター的な青春の日々を圧倒的なボキャブラリーで読み進めた原作と同じ陶酔感。

森見登美彦の作品が大好き過ぎる故に見るのを躊躇っていたが(四畳半神話大系と比較してしまいがちだけど個人的にはあれはあれ、これはこれとして楽しめた)
CSで放送されるのを好機会と捉え遂に鑑賞したわけだけど、原作にある流れるようなテンポを失わずその流麗さを映画化出来ただけでも充分に納得の作品だった!


強いて言うならば原作の言葉を読み進める程に感じたあの京都"感"をもっと出して欲しかった。

関西人、京都好きであれば自ずとあの小道を進みたくなる、途中で駅を下車したくなるあの佇まい。

もっとマニアックなくらいに地名を巡るかのようなそんな醍醐味欲しかった。

絵のタッチ、妄想の表現、外堀を埋める男の心情は映画を通してうまく解釈できていただけにこの世界でも有数の観光地、もっともっと魅力出せたんじゃなかったかな。

みんな鯉も降ってくる様なファンタジックな濃い恋してね。
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