Mi

メアリと魔女の花のMiのネタバレレビュー・内容・結末

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

取り急ぎ!
何箇所かで泣いてしまったし、ニヤけてしまった。
過去のジブリ作品へのオマージュたっぷりな映画でありながら、新しいことに挑戦している映画だなと思った。

・テーマが魔女の物語、箒、黒猫、主人公と少年(ピーター)の自転車並走シーン→魔女の宅急便
・空に浮かぶ魔法大学の島、冒頭の逃げるシーンの類似→天空の城ラピュタ
・「龍が生きていた時代」から存在する魔法界の島という言及→ゲド戦記
・メアリが橋を渡る斜め上からのシーン、橋を越えた先の森が異世界との入り口設定、人間が異形になる変身の術→千と千尋の神隠し
・魔法学校のアルザス地方のような街並みや魔法界の景観・外観、途中、がっつりハウルの動く城のような大きなガラクタのような建物が映る、自分に自信がないけど誰かのために強くなれる、変われる主人公→ハウルの動く城
・森の中で小動物に誘導されるようにして魔法(の花)に出会う・見つける、キャラクターのわがままっぽくて好奇心旺盛な性格→となりのトトロ
・「森」が地上での重要な物語設定地、変身の術で変えられる動物たちとの協力→もののけ姫
・木苺のジャム、室内の景観、水滴の描写の感じ→借りぐらしのアリエッティ
・猫と関わる、猫が異世界にも付いてくる(ただし、本作の猫は喋らない)→猫の恩返し
紅の豚や風の谷のナウシカ、崖の上のポニョにも、飛行シーンや、「水」や「火」の描写などで、それぞれの映画を彷彿させるシーンがたくさんあると思います。上記はただの覚書です。メモしながら観たらもっとある気がします。

ただ、これだけオマージュして、尊敬の念を示しているように思える反面、物語は意外な方向に進んでいきました。
魔法は過去のことで、悪い歴史であるかのように描かれ、メアリは1人の現代の女の子として、魔女の血を引いてしまっていることにより、問題に巻き込まれていくのです。物語終盤、メアリは、自分のせいで命の危険にさらしてしまったピーターを救う場面で、「魔法なんていらない!」と叫びます。なんとびっくり。魔法、いらないそうです。
そうなんです。魔法を使った寓話を通して夢を描いてきた過去のジブリ作品に対して、メアリはこの一蹴。もちろん、この物語は、魔法なしには成立しません。しかし、行き着く先は、「魔法に取り憑かれてしまった悪い大人たち」のせいで、行き場をなくした子どもたちが、「友達を救いたい!」という、本来人間が持っているはずの、愛と勇気をもって成長していくという話だと思うんです。魔女が魔女として生きていくのではなく、普通の子が何かになろうとするのでもなく、普通の子が、次々と出くわす困難や絶望に、本来自分が持っている素質を発揮し、新たに生きていくのです。メアリが自分の容姿を受け入れるようになることも、言えると思う。
喜びや希望を魔法として描いてきたこれまでの作品に比べて、困難や絶望を、魔法というファンタジーを用いて見せてきているということが面白かったです。

以上、、、全て個人の見解です。
Mi

Mi