はっとり

いぬやしきのはっとりのネタバレレビュー・内容・結末

いぬやしき(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

いま、この瞬間の没入感。


とにかく撮り方が上手い。アングルや構図云々ではなく、感情をフィルム通して見せるその魅せ方が。これなんて監督だろ。
音楽も主張しすぎずベストマッチで、さすがやまだ豊。東京喰種ではお世話になりました。あの曲好きです。
感情を序盤からグッと掴まれて、その上で展開されていく救いようのない物語。

きっと救いはあるはず、きっと救いは……と、中盤から終盤にかけてはもう祈るような気持ちで見てしまった。
マンガ原作ということで、やはり尺足らずの説明不足はあるが、そんな子細の不足を微塵も感じさせない出来上がりだったと思う。
足の裏にまで汗握った映画も久しぶりでした。


そして、もうひとつ描写で際立ったのは人間のクズさ。特に日本人という人間の糞さ。
獅子神が日本と戦争を始めた時は、やめろと思いつつも、私自身、ある種の爽快感を感じてしまって。こんな奴らは殺してしまえ、と。
ああこんなにも、私は現代の日本人に絶望していたのか……視聴中愕然としました。
絶望の共鳴。感情の共感。良心の呵責。

これは原作、アニメに手を出すでしょ。出さねば。

ほんの2時間で、数カ月は冷めやらぬと思われる興奮を与えてくれる傑作だったと思います。
はっとり

はっとり