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クルエラのJIZEのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
4.3
1970年代のパンクムーブメントに沸く英国のロンドンを舞台にデザイナー志望の少女が邪悪なヴィラン"クルエラ・ド・ヴィル"に変貌を遂げるディズニー長編映画!!ヴィラン主体のオリジンのストーリー。まず派生元の『101匹わんちゃん(1961年)』の悪役クルエラの誕生から名を成すまでをユニークな角度から妖艶に語りおろす。元々クルエラについては、ファッション業界に身を置いていて、気高きダルメシアン好き、程度の認識だったが、クルエラ自身の権力に反発して狼煙を上げる部分や、屈折した感情の爆発の吐露など、比較的に人間らしい善意的な内面がこの映画版では時折 垣間見せる。また主演のエマ・ストーンの雰囲気の元ある派手さと眼力が、良い意味で悪に備わる役柄との狂気の親和性を生み出し、ブッ飛んだこういうセンスただ漏れ芝居は痛快だった。60年代のナンバーの音楽の選曲も、シーンとの整合性がとれ終始際立っている。全体的にクルエラの少女期と成熟期の邪悪な性質を身に着ける二幕構成を敷いた点や、ある人物によって殺害された駆け出しから復讐のエピソードまで、物語のエッセンスがお洒落かつポップに散りばめられている。作品の否を云えば終盤、バロネスとの関係の落とし方がやや導線を張り巡らせた割には逆張りの仕方が淡白に思えた。クルエラとダルメシアンを繋ぐ特殊なモノが、あとから振り返れば取って付けたようなモヤモヤ感もある。エマ・ストーン ベストアクトならぬディズニー実写枠として見応え十分の作品だろう。原盤の"101シリーズ"と見比べるのも悪人を悪人として描いた今回のヴィランの物語においては、双方で完結するだろう。最後に、すでにクルエラの続編が始動中というコトで、豪邸"ヘルホール"に拠点を移した彼女たちが暴れる展望に期待したい。
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