ねじまき

マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディションのねじまきのレビュー・感想・評価

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イモータン軍団の追撃シーン。モノクロとなった事でカルト映像度がとんでもない事に。逆に夜のシーンではカラー版の異界感が薄れた事で人物間のドラマに目が行く落ち着いた仕上がりになっていました。そして、なんといっても終盤の起点となるあのシーンの砂漠に流れる風の美しさ。静かで壮絶なこのシーンは本バージョンの意義を強く感じる事の出来る仕上がりとなっていました。

と、場面場面ではハッとさせられる瞬間も多く、十分楽しむ事は出来たのですが、と同時に本作が当初公開版のあくまで副産物なのだと確認する事にもなった、というのが総評です。
現在におけるモノクロ版の最大の意義は、あえて情報を絞り込む事で残った要素を強調するという事だと思います。元の公開版の異常な疾走感や人物描写の尺の短さを実現するために必要だった画面上の情報は、この作品において全て、それこそ一つ残らず不可欠なものでした。本モノクロ版はそういった必要な情報も犠牲にしているため、これ単体でひとつの作品とするには、やはり厳しいと思います。もしモノクロ版として成立させるのであれば完全に別解釈の編集が必要なのでしょうね。

もちろんあくまで本作はお祭り企画であり、そんな本作をこうして劇場で観る事が出来ただけで、作品ファンとしては感謝感激の大満足なのですよ。
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