mgc

ヤコペッティの 残酷大陸のmgcのレビュー・感想・評価

ヤコペッティの 残酷大陸(1971年製作の映画)
4.5
ヤコペッティが18世紀のアメリカで奴隷制を取材したら...というドキュメンタリー風劇映画。
より過激な亜流モンド映画が横行し、前作さらばアフリカがコケたので見切りをつけ劇映画を製作したヤコペッティ。エキストラ数は1000人を超えるであろう超大作。興行的には失敗しているが、ここまで奴隷制を直接的に再現と非難をした映像は珍しい。

原題:さらばトムおじさん
ハリエット・ビーチャー・ストウの名著「アンクル・トムの小屋」にちなんで、白人に従順な黒人のことを「トムおじさん」と呼んだスラングから。

......
・ヤコペッティとプロスペリはヘリから降り立ち、当時の著名人たちを取材するも、黒人を生物学的に劣っている「かわいそうな動物」と人間扱いしない。

・黒人が奴隷船で運ばれてくる。虫やネズミだらけで異臭を放つ船。しゃもじで「エサ」が与えられる。抵抗して食べない者は歯をかち割られ無理やり流し込まれる。赤痢の奴隷にはコルクで尻に蓋をする。

・到着したら皮膚病の者は檻の中で天日にさらされ、てんかんの者は足から吊るされ痙攣を止める。洗浄され、髪を剃られる。

・「餌やりの時間」家畜用のエサ入れに一心不乱に群がる奴隷たち。
・教会が解放運動と称し奴隷を商人に売る。
・奴隷市場へ徒歩で大移動をさせられる。

・白人たちに奴隷の女たちがレ●プされる
・白人の少年少女が草原で遊んでいる。手にはペットの裸の黒人を連れるリードが。
・黒人の使用人でごったがえすマクスウェルのお屋敷を痛烈批判するサッカレー
・レ●プをした黒人青年奴隷の金玉を潰す公開処刑
・奴隷制を神の使命と肯定する教会
・「奴隷という野生動物たちを大切に扱っている」と語るマダムたち
・宿泊のお客様に「提供」させられる奴隷少女

・奴隷市。「今なら奴隷が一匹当たる!」クジ。ペットとしてシスターに可愛がられる奴隷の幼児。高額で売られる白人との混血の美女奴隷。ダンスの練習を叩き込まれる奴隷少女たち。高額商品のペニスを3本もつ青年、双子。丸裸の少女たちに皮膚病予防兼ニオイ消しのオイルを塗りこむ男。奴隷制を肯定する身なりの整った奴隷(ヤコペッティに糾弾されるw)

・独自の解釈でキリストを崇める黒人奴隷たちの集会
・黒人を「人間未満の種族」と解釈するユダヤ人の博士
・ゴミ食いや食糞と、無意識な自殺未遂をするために防止器具をつけられた奴隷たち
・厳しい労働から逃れるために自ら手足を切り落とした奴隷たち
・使い物にならないとされるインディアン

・奴隷ハンティング

・奴隷農場(農場主の子孫を探し、実際に演じてもらった)
売り渡された少女が「種馬」の元へ渡される。

・時は戻り現代、黒人青年が海辺で、反乱し主の白人を虐殺した奴隷ナットターナーの伝記を読む。海辺ではしゃぐ白人たちと姿を重ね合わせ怒りがこみ上げる。(公開当時キング牧師やマルコムXが倒れて各地で暴動が起き、ブラックスプロイテーションが流行っていた為より黒人たちを煽るような演出をしている)

転がってくるビーチボールを拾う。「返しておじちゃん」と無邪気に話しかけてくる白人の子供。無言でボールを握りしめる。

加害者は忘れるが、被害者は絶対に忘れない。
mgc

mgc