マンション

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのマンションのレビュー・感想・評価

4.3

このまえボヘミアンラプソディーを観たとき、一個人の痛みや葛藤を勝手に美化してそのまま商品化してしまってええのか?ていう疑問がずっとまとわりついて、個人的にいまいちだったが、
対してこの作品は、全く同じようにトーニャ・ハーディングという実在人物のかなり立ち入った所まで商品化してしまっているのに関わらず、キレキレの編集と笑いのセンスでぐいぐい引きこまれ、最後にはトーニャに言わせた確かな熱い主張に感動すら覚えた。この違いは何?

それはともかく、なんせこれは名作で間違いないだろう。
テンポよくパンパン切り替わっていくカットの中に、たまに長めのカットも織り交ぜられてきて、あれ?と思いきや、大抵そこには最後に気の利いたオチがついてくるから、一瞬も飽きる隙が無い。
こういう程度の低ーいやつらが繰り広げるドタバタ、
それを茶化すようなやたらセンスの良いポップソング、
カメラに向かって自分のことを嬉しそうに言うてくるメタ台詞、これって完全にグッドフェローズとかのそっち系のおもろいやつの鉄板やないかい!

しかも社会に対する、非常に真っ当で心強い主張もガツンと言うてくれて、もう最高。
トリプルアクセル成功させるところは、
やった!というより、ザマアみろ!コラ!て感じで爽快。

あと、あのデブは2018年に映画で出てきた数々のキャラの中でも一二争うくらい好き。無駄に声渋いとことか、ちょっとずつだが確実にイラっとさせてくるあたり、たまらんわ。
デブのツレで、知性全部吸い取られたトムハーディみたいな奴の、犯行シーンでグダグダぶりがどんどん加速してくるとこ、このへんも笑い堪えられへんとこ。