ダイセロス森本

ザ・ウォールのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

ザ・ウォール(2017年製作の映画)
4.7
イラクの狙撃手、ジューバ(ジュバともいう)。アメリカで訓練を積み、裏切り、アメリカ兵を数多く射殺した人物。実在するともいわれており、ジューバを名乗るユーザーがアメリカ兵を次々に殺害していく動画をインターネット上にアップしたことが話題になったそう。私は全く知らなかった。

その後の彼はISISに殺されたとか、まだ生きているとか、いろいろな噂があるようで、まだ人物像すら発見できていないという「伝説」の人物。そんなジューバをピックアップした戦争映画「ザ・ウォール」。

Amazonプライムがこんなものを公開するということで、「あ、見てみよう」って感じで軽く見始めたら、面白くてどんどん引き込まれていった。
戦争映画というと、ずっと射撃、ずっと人が死ぬ、みたいな感じなのだけれども、これがこれが、全然違う。
相手ジューバの高い技術と、それに翻弄されるアメリカ人兵士を上手く作り、終わり方も逸材。

ジューバの手口はとてもスマートで、イラクの人たちに人気だと言われる理由がわかる。これならアメリカ兵を永遠に殺せる。
会話劇が主なこの映画、アメリカ側からみたジューバの「恐ろしさ」や「頭の良さ」を憎たらしいけど描いてやるぜ、みたいな感じで面白い。
言葉を使い、頭を使い、武力も使う最恐の敵。これはやっぱり、恐ろしい。男は武力だけで戦争するものだと思っていたので、技術に話術、そして頭脳が必要なこの””静かな””戦地は、とても恐ろしく、とても新鮮だった。

ジューバ、もしまだ生きているのなら、頼むから、引退していてください!。