みおこし

犬ヶ島のみおこしのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.0
今やストップモーション・アニメーションを手がけるクリエイターは数少なくなりましたが、この2018年にそれでもなお地道な撮影も厭わず精巧な作品を創り上げる、「ひつじのショーン」シリーズのアードマン・アニメーションズ然り、本作のウェス・アンダーソン然り、作品を観る前からもうひたすら脱帽...!

未来の世界にも過去の世界にも取れる空想の日本を舞台に、犬インフルエンザのパンデミックを恐れ、犬たちをゴミの島に隔離した「メガ長崎」の市長コバヤシと、その養子であるアタリ少年と勇敢な犬たちの戦いを描いた痛快アドベンチャー大作。
シュールな世界観と、天才的な芸術センスを誇るウェス・アンダーソン監督の渾身の一本。制作期間6年と聞いただけでもどんな作品になるのかドキドキでしたが、いざ観てみるとそれも納得のクオリティ。和太鼓の音が印象的なオープニングから始まり、ウェスの描く世にも不思議な「日本」にとにかく息を呑み続け、観終わる頃にはすっかりこのブッ飛んだワールドに病みつきになっていました。
皆さんレビューにも書いていらっしゃいますが、ウェス監督の脳内構造は一体どうなっているのか本当に分からない!(笑)あの色彩、細かいユーモア、キャラクターたちのディティールや日本文化の取り入れ方、一生かけても常人には思いつかないだろうアイデアの連続で、まさに彼こそ「天才」と呼ぶに値する人物だなと。とっても彼の作品は大好きなのですが、果たしてどれだけの人が彼が詰め込んだメッセージやテーマを理解できるのかも疑問です(笑)。

恐らく黒澤明監督はじめ、昭和の邦画がお好きなんだろうなと分かるレトロで懐かしい日本の描き方(笑)。エンドロールに日本人の名前が数多く見受けられましたが、この世界観作りにあたっては日本人のアドバイス無くしては完成しなかっただろうなと。浮世絵や日本の寺院などのデザインも相当研究されたのだと思われます。こういったジャパン要素に、監督の独特のセンスを織り交ぜられているからそこ、これほどの唯一無二の傑作が生まれたのだなと、スタッフの皆さんの献身ぶりに脱帽。
あの和テイストな音楽もツボ!!

そして本作の主役であるワンコたち!豪華すぎるキャストが演じる個性豊かなキャラクターたちが放つ一言一言がとにかくシュールすぎて爆笑(笑)。ストップモーションで再現されるちょっとした犬たちの仕草もいちいち可愛くて、あのつぶらな瞳もたまらない!ちょうどミニ展示も六本木ヒルズで開催中だったので、パペットも見て来たのですが、本当に細かく毛並みや目など再現されていました。あのこだわりが、これだけの愛おしさを生むのだなと...!
ストーリーも、変わらぬ飼い主とワンコの絆を描いていてホロリとさせられる場面が多々ありました。ナツメグとスポッツが特に可愛い!

先日ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得していましたが、アカデミー賞ノミネートも間違いないなと...!むしろこれだけ練り込まれた作品なので、ぜひ受賞してほしい気持ちでいっぱいです。
ぜひ大画面で堪能すべき緻密な世界観。独特すぎてついていけない人もいらっしゃるかもしれませんが、それでもなおぜひ一度はご覧いただきたい傑作です!おすすめ!